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Sside
潤のやつ、偶に自分の世界に入る。
いくら俺が声かけても反応しないんだよねー。あっ、どうも、櫻井です。
一応、これでも有名な出版社の編集者として名を連ねているんだけど、潤の言う通り、家事全般、無理なので、バリバリ仕事をやるタイプとなる。
過去、グルメ雑誌、ファッション雑誌、旅行雑誌など、様々な部署を渡り歩き、頼られ、いつしか社内で有名人となった所為で俺に寄せられる仕事は数えきれないレベルにまで発展する。それが俺の計画したスケジュール通り、全て片付いて、こうやってダラダラと過ごす休日はとても気持ちいい。
「贅沢、さいこー！」
「それにしても翔さん、よくあんな大量の仕事を抱え込むよなー。あの量、バリバリ厨房で働く俺でも処理しきれなくてパンクするぞ。」
「頼まれたら断りきれない性分なんだよねー。直したいとは思ってるんだけど、いざ、頼まれたら、首を縦に振ってしまうんだよー。どうしようもない人間だよねー俺。」
「また、他人事だな。同僚とか何か言ってこないのか？」
「俺を慕ってくれる後輩から限界を超えそうなら仕事、下さいって言われてるんだけど、後輩を頼ったら終わりな気がして…うーん、彼らには彼らの仕事もあるし、俺が全部、背負えばオールオッケーみたいな？」
「あんた、バカかよ。」
「潤、それは酷いよぉー。流石の俺も同居人の潤にストレートにバカって傷つくよ？」
潤のくせに生意気だよー。
俺の複雑な感情、分かってくれると思ってたのにー！
「…いつの間に同居人扱いかよ。」
「実際、お互い、用事が無い時はずーっと一緒じゃん。ほぼ、同居人と言っても過言ではないもん。」
「まぁ、別にいいけどさぁー。全部、背負うなよ。疲れて死んでも知らねぇぞ？」
「俺のお葬式に参列してくれないの？友人代表としてスピーチしてよー！」
「オイオイ、死ぬ前提なのやめてくれ。分かったよ。結論、家に居る時は俺と分け合えばいいんじゃねぇの？」
「ん、どういう意味？」
「だからその…雑誌の編集の仕事は手伝えねーかもしれないけど、翔さんの仕事のストレスの捌け口くらいにはなれると思うし…。」
潤は珍しくか細い声で言った。
何故か照れ臭そうなんだけど。
俺は徐に手を伸ばし、髪をわしゃわしゃと撫でた。
「なっ！？子ども扱いすんな。年も近いんだぞ。」
「その気持ちだけで充分だよ、潤。ありがとう。」
嬉しかったよ。
ただ、純粋に嬉しかった。
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作者名：山風無限 | 作成日時：2019年7月26日 1時
