・ ページ24
Mside
「相葉ー道草食ってないで仕事しろー！」
「すみませーん！」
相葉さんが来てから更に賑やかになった。彼はムードメーカーで、いつの間にか話の輪の中心に居て笑っている。
「翔さん、ごゆっくり。」
「んー。」
適当な返事だけど、話を聞いてくれているだけマシか。翔さんはいつも美味しそうに食べるから作り甲斐があるんだよな。
「松潤、翔ちゃんってさ、やっぱり、モテるよね？」
「えっ、ええ。あの人、女性社員からのお誘いを避ける為に常連になったんですよ。」
「ふーん、要するに利用されてるんだー。」
「棘のある言い方、やめて下さい。確かに利用されてるかもしれませんが、翔さんはいつも美味しそうに召し上がってるんですよ。純粋に此処での食事を楽しんでくれてます。」
「そうなんだー。確かに美味しそうに食べるよねー。顔立ちが良くて、あんな風にご飯を食べる…モテない訳が無いね。」
「相葉さん、モテるモテないの基準で考えないでくれますか？翔さんはそういうキャラじゃないし、外面は良いかもしれませんけど、あの人、俺にだけは酷いですから。」
「例えばー？」
家事全般、出来ない。
休みの日は堕落した時間の使い方。
まぁ、仕事中、スケジュール管理がギチギチだからその反動だと思うけど…。
俺の部屋に来れば、必ず、俺の部屋を汚す。子どもっぽい言動も目立つし…。
これ、全部、言ったら、翔さんのイメージがガラッと変わるだろうな…。
「松潤？」
「とにかく、翔さんを否定しないで下さい。」
「別にそういうつもりじゃないんだけどなぁー。ただ、翔ちゃん、モテるから大変そうだなぁーって思っただけだよ。」
だったら、最初からそれだけを言ってくれませんかねー。何か分からないけど、翔さんを否定される事に対してイライラした。
相葉さんはそんなつもりはないんだろうけど、何かスイッチが入ってしまった。
仕事中に取り乱すとそのメンタルが料理にも現れて最悪だし、切り替えないと…。
それにしてもつい最近、入って来た相葉さんにコンペで負けるなんて…悔しいな。
「相葉さん。」
「どうしたの？」
「次のコンペ…いつか分かりませんけど、参加しますか？」
「うん。自分の料理の腕を確かめてもらう良い機会だからねー。松潤は？」
「勿論、出ます。その、次は負けませんから！」
「そういう話かー。熱いねー松潤。まぁ、嫌いじゃないけど。いいよ、俺も負けないから。」
そう言って相葉さんはオーダーを取りに行った。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 406人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：山風無限 | 作成日時：2019年7月26日 1時
