9. めらめら ページ23
Mside
新作メニューのコンペで採用されたのが、つい最近、お店に入って来たルーキー。
和食のお店で活動した経歴があるらしい。それでいて俺と歳が変わらないというか、1つ上の相葉さんっていう人だったような…。
オーナーがそう言っていた記憶がある。
「翔さん、また来てたの？」
「会社のランチはここって決めてるからー。女性のお誘いを断る為の避難所みたいな所と位置づけしてるからー。」
俺の働く店は翔さんの避難所じゃないんだけど。
「てか、新しい人、雇ったんだねー。」
この人、意外と見てやがる！
シェフの顔とか覚えてるのかな？
「ま、まあな。」
「我が物顔だけど、潤のお店じゃないよ。」
まだ、コンペの傷が癒えてないのに、それをはっきり言いますか。結構、突き刺さってますからね！
「んな事、百も承知だから。」
「モデル体型のカッコいい人だね。料理人の服が似合う感じのー。」
確かに背は高いし、スタイルも良い。
こういう感想は女性が抱くものだろ。
「松潤のお友達？」
「松潤、初めて呼ばれた。」
和に呼ばれた「じぇー」という独特のあだ名から、また、増えた。
「松潤というのは、潤の呼び方ー？」
「うん！そうだよ。松本潤だから、松潤。オーナーが褒めてた凄腕の人。」
俺、密かにオーナーに褒められていたのか！何か間接的に嬉しい。
「こちらは、俺の家の隣人の櫻井翔。有名な出版社に勤めています。」
「潤、説明、ありがと。サラリーマンの櫻井です。宜しくー。」
「翔ちゃん、宜しく。俺は相葉雅紀。松潤よりは1つ上の年齢だけど、此処に来たのはつい最近だから、1番、後輩なんだよねー。」
何かこの緩さ、似てるかも。
翔さんと相葉さんの共通点？
「ねぇ、俺も松潤って呼ぼうかなー？何か響きがいいからー。」
「…翔さんは潤でいい。」
「んぁー何でー。相葉くんには許してるのにー？」
「駄々こねるな。恥ずかしいだろ。しかも、仕事中なんだから。」
「むぅ、俺も独特なあだ名とか付けたーい。」
翔さんはピザを食べながら、俺を見ている。何故か翔さんには妙なあだ名じゃなくて名前の「潤」って呼ばれたい。
付き合いが長いからかな。
「翔ちゃん、面白いね。意外と柔らかいし。」
「んぁーほっぺた撫でないでー。むにむにしないでー。2人共、仕事に集中してー。」
いつの間にか距離感が更に近付いている。翔さんのコミュニケーション能力の高さだけは認めるしかない。
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作者名：山風無限 | 作成日時：2019年7月26日 1時
