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Mside
「そんな焦らなくていい。努力すれば、必ず、夢は叶うとは言わない。でも、ここで辞めたら潤には何も残らない。俺は潤を信じてる。潤の料理を隣で1番、食べてきた俺が保証する。」
そう言ってハンカチを渡す。
ジェントルマンかよ。
いつからそんな頼れるお兄さんみたいな顔するようになった！？
そんなキャラじゃなかったよな！
こんなの、涙も枯れてくるぞ。
「保証なんて軽々しく言うな。」
「うーん、確かにー。俺はソムリエとかじゃないから責任、取れないねー。潤を励ますつもりが心配させちゃったかなー。」
ダメだこの人。
雰囲気、台無しにしてるぞ。
てか、それなら、一層の事、俺が責任とってやるとか、大それた事をバシッと言ってくれたらいいんだけどな…。
「俺が言うと締まらないね。何か大人として欠けてるのかも…。でも、これだけははっきり言いたいな。誤解されるのは困るから。夢を設定するのは俺じゃなくて潤だから。潤が決めた道を俺は応援するから。」
「…翔さん。」
「あー、また泣いてるー。カッコいい大人のそんな面、見たくなーい。」
俺の感情、ぐちゃぐちゃだよ。
翔さんの所為だからな。
俺のウルッとした気持ち、返せ！
「涙は拭いて。それでご飯、食べよ。」
「ちょっと待った。」
「そのご飯を作るのって…？」
「もちのろん、潤だよー。」
やはり、そうか。
全く…アンタって人は…。
結局、全部、俺がやってるよ！
てっきり、今日くらいは大船に乗った気持ちでとか、そういう話かと思っていたのに！
この人の場合、家事全般、アウトだし、大船じゃなくて泥舟か…。
「ほら、即興だけど…。」
「即興なのに焼き魚定食…潤の腕、恐るべし。」
「翔さんは褒めてくれるけど…負けたんだぜ。」
「地雷踏んじゃったよー！くよくよしたらダメー！潤、切り替えって社会人にとって大切なんだよ。」
「くよくよはしてねぇー。悔しいだけ。」
「ほぼ一緒だもん。言い方、変えてるだけじゃん。まだ、終わった訳じゃないんだからさ、また、次の機会を狙おうよ。」
「…気楽に思考できる貴方が羨ましいよ。」
「気楽ー？そうかなー？」
翔さんの目がギラつく。
何だろう。
翔さんって、いきなり、真面目なトーンになるんだよな。
「負けたなら、次までどれだけの時間を費やして努力するか、そこが重要でしょ？俺は気楽なんて思わないよ。」
そう言って立ち上がり、お皿を片付けに行った。
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作者名：山風無限 | 作成日時：2019年7月26日 1時
