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Mside
「んぁー良い匂い。潤、何でも出来るねー。万能だねー。」
「翔さんが出来なさ過ぎるんだよ。」
「それは否定出来ぬぅ。」
翔さんはそう言いながら、ホットプレートを眺めている。その目は輝いている。
無駄に顔が良い。
というか、良すぎて直視出来ねぇ。
何故かこっちが恥ずかしくなる。
「ねぇねぇ、今度、潤の店、行ってもいい？てか、雑誌で取り上げたいくらいなんだけど。」
「…俺の店じゃねぇよ。ただの経験値を稼ぐ場所。だから、紹介しなくていい。」
「そんなぁー残念。でも、有名になったら、忙しくなっちゃうもんね。手が回らなくなって困惑する潤の顔も見てみたいけどね。」
従業員は十分、居るから手が回らないって事は無いだろうけど…。
ただ、嫌なだけ。
紹介してほしいのは俺の店だ。
翔さんの雑誌には、俺が店を出して店長として活躍している姿を載せたいというのが本音だ。でも、まだ、それに至ってない。
「潤？」
「仕事の話は終わりだ。」
「…拗ねてる？」
「家くらい現実逃避できる楽園のような場所であってほしいんだよ。」
「拗ねた潤、子どもみたいで可愛いよ。まぁ、実際、年下だし、子ども、うーん、でも、何か弟みたいな感じだよね。あーでも、いつも俺のお世話してくれているから、家政婦的な一面もあるなぁー。潤は面白いね。」
結局、面白いってオチか。
子どもとか、弟とか、挙げ句の果てに家政婦って俺の扱いどうなってるんだよ。
立ち位置が不明だぞ。
「焼きそば、美味そう！」
「もう出来たから、好きにとっていいよ。」
「ありがとう！一家に一人、潤は必要だね。それに独りで食べるカップ焼きそばと比べものにならないくらい、潤と食べると楽しいしー！隣人で良かったー！」
「そりゃどうも。」
褒め殺しにされてる。
まぁ、悪くはないけどな。
「美味い！潤の料理、いつも食べてるけど、いつも新しい発見があるよー。何か分からないけど、凄いなぁ。この調子でお店、出せるといいね！」
プライベートな翔さんは相変わらず、凄いしか言わないくらい語彙力が乏しいなぁ。雑誌の編集の時は凄い引き込まれるような文を書くのに…。
「褒め過ぎだよ。俺が勘違いして舞い上がってしまうだろうが。」
「いいよ。舞い上がって。それが楽園だよ、潤。ほら、乾杯しよ？」
そう言ってキンキンに冷えた缶ビールを冷蔵庫から出してくる。
不意に気の利いた事するよな。
「潤、かんぱーい。」
「乾杯、翔さん。」
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作者名：山風無限 | 作成日時：2019年7月26日 1時
