第二話 三人って珍しいよね ページ5
ビクリッ
と肩が跳ねた。
家の中がこんなにも静かだから、本当に人が居るとは思っていなかったのだ。
誰だ? 家族設定の……兄弟的な……?
小さな人は扉が勝手に開けられた事も気付かずに、すやすやと眠っている。
悪いとは思いつつも、足音を立てないように小さな人に近づく。
彼(彼女?)は薄めの掛け布団に包まっていて、体どころか顔すら見えない。
だが年齢は体格から予想して私と同じ十二歳か、大人でなくて良かったと少し安心する。
私はベッドに到着すると、興味本位で顔辺りの布団を捲った。
老人の白髪とは違う、艷やかな白い髪。日本人的な、けれども少し黒い肌。
そして、確かに見覚えのある面影を持つ、端正な顔。
「…テツ?」
気付けば、呟いていた。
テツとは私と同じ塾に通っていた男の子であり、本名は乃風徹(ノカゼトオル)と言う。
だが思わず呟いただけで、彼が本当にテツとは限らない。
そもそもテツの髪は白くないし、確かに顔は善かったが此処までイケメンでは無かった。
だけれど確かに残る面影はテツのものだ。其れに、私も顔が変わって居るのだから、完全に否定は出来ない。
「ん……」
布団を捲った儘考えて居たら、彼が、薄く目を開けた。
目は深みの在る黄色。形は吊り目だが、矢張りテツの面影が在る。
「………真?」
彼が、私の名前を呼んだ。
嗚呼、彼はきっと、いや確実に、テツだ。
「おう、そうだぞ、テツ。」
私は、努めて明るく、返事をした。
テツが起きてから、私はテツに現在の状況を説明した。その時の反応が之である。
「うぅおおう…マジかぁ……。」
なんとも中学三年生らしい反応である。あ、今は十二歳だったか。
「そうそう、私の部屋の机の中にはこんな紙が入ってたよ。テツも確かめてみては?」
そう言って、私は部屋を出る際持ってきていたあの紙をテツに見せた。
テツは私の紙をまじまじと見ると、言った。
「…内容は兎も角突っ込みどころ多すぎねえ?」
「それな」
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作者名:ミキノ・乃 | 作成日時:2020年6月19日 14時