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「かっ……」


 秘書が声を上げた。

 見ると、胸には二つ穴が空いている。

 ――ありえない!

 心の中で、上木は叫んだ。

 少年は布袋を被せられ、両手を縛られていたのいうのに、正確に裏切り者の秘書に報復を果たした。

 其のことが、信じられなかった。

 ガチャっ。

 秘書の傷に目を奪われていた上木は、銃が壁にぶつかる音で、視線を着物姿の男と殺し屋に移した。

 見ると、男が少年を床へ押し付け、裸じめにしている。


「貴様っ……!」


 福沢がそう言いながら、殺し屋の布袋をはぎ取った。

 出てきた顔は若い。上木達と同じくらいの少年に見えるが、その表情は空虚だ。

 その表情と諦観の感情に上木はゾッとする。
 
 十代半ばの少年がこんな表情をすることがあるなど、上木は知らなかった。

 そんな上木の視線に見つめられながらも、福沢は差し迫った表情で少年の首を絞めた。頸動脈を圧迫し、気絶させる。

 気絶する迄、少年の表情は恐ろしいほど変わらず、空虚なままだった。

第八話 さっきまでのシリアス展開は何処に行ったよ!→←第六話 ありえない!



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設定タグ:文豪ストレイドッグス , トリップ , 江戸川乱歩   
作品ジャンル:アニメ
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作者名:ミキノ・乃 | 作成日時:2020年6月19日 14時

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