第五話 とんだ自由人 ページ13
「たのもう!」
少年、江戸川乱歩は社長室に着くと、躊躇いもなくドアを開け言った。
その後に他の三人が続く。
「失礼いたします。」
「しししし失礼しますっ!」
「失礼します…。」
行きなり現れた少年少女達に、中にいた大人二人が固まる。
部屋の床は書類の山が整然と並べられていた。
江戸川はそんな様子に怖じけ付くことなく、更に世間話とばかりに、
「いや今日は馬鹿みたいに風が強いねえ!この様子じゃあ二丁目の桶屋は大儲けだよ!それはいいけどこの会社の立地ほんとどうにかならないかなあ、海が近くて潮臭いし坂道はメンドくさいし道は覚えにくいし、(以下略)」
作者が思わず以下略を使う程のマシンガントークを繰り出した。
嗚呼、と上木が眉間を抑えた。
それもそうである、此処は社長室前、相手は大人、しかも此処は事件現場!
この瞬間上木の中で江戸川乱歩はとんだ自由人と位置づけられた。
だがなぜか山辺は何時もの5割増のニコニコとした笑顔を浮かべている。
上木は山辺がおかしくなったのではないかと疑い始めた。
だが読者は分かるだろう、山辺は原作を知っているのでこの状況は把握済み、さらに言えば憧れのキャラクターに会えた興奮でハイに成っていると言う事が。
しかし、上木には全く通じて居ない。状況を説明しない限り、この後山辺が暫く上木に避けられる未来は避けられないであろう。
上木が親友の変化に悶々としている間に、江戸川と大人の会話は続いていたらしい。気付くと江戸川はこんなことを言っていた。
「またそうやって見え透いた嘘をつく。いいよ、自分で探すから。」
探す?何を?あ、活動認定証か。でも嘘って?
会話を聞いていなかった上木は状況をあまり理解出来ていない。
いつの間に移動したのか、江戸川は窓のそばに居た。
「ここが社長さんが落とされた窓だよね。」
「少年、この山の中から、どうやって一枚きりの書面を見つける?」
江戸川に向かい、着物姿の男が聞いた。
「何だおじさん、喋れるんだ。ずっと黙ってるから、石のように無口な人かと……あのねえ、僕の探している書類は印紙付きの政府証明書類で、材質が違うから他の書類より厚みが有るんだよ。其れにこの子達の分もだから3枚だよ。」
ええ、真逆…。
上木はこれから江戸川がする事を察し青ざめた。
一方、着物姿の男はなんのことかさっぱり分かっていないようだ。
・→←第四話 やっとアニメキャラ登場、そして探偵社設立秘話開始である。
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作者名:ミキノ・乃 | 作成日時:2020年6月19日 14時