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会話からお気付きだろうが、地蔵と話しているこの人物は地蔵と同じ怪異に属する者。名を
「夢羽はんもボロ家に戻る途中なんです?」
「はい。ちょうど依頼が終わったので」
「なら一緒に向かいまへん? 直ぐそこやけど」
頷く夢羽にならと手を差し出す地蔵。二度見する夢羽。
「……えっと、あの、たたり地蔵さん?」
「手ぇ繋いでいきましょ」
「……ご勘弁お願いしても?」
「えー……」
「ほらこのとお、いえなんでもないですすみませんごめんなさい拝んでないです少し手が当たっただけですだからその怖い顔しないでくださいたたり地蔵様ぁ」
夢羽が思わず両手を合わせて謝ろうとした瞬間、先程までにこにこと笑っていた地蔵だったが一瞬で人一人を射殺せそうな顔をし始めたゆえに即謝罪を一つ。しかもノンブレス。
「そうなん?」
一変して不思議そうな表情で夢羽を見上げる地蔵。いつも通り愛らしい顔をしていた。だが、やはり恐ろしかったらしい。夢羽は少しガタガタと震えながら何度も頷いた。
いつもならこのような失態をすることはなく、というより拝むことすら気をつけているというのにこの夏の暑さに思考回路がショートしていたらしい。何があってももう拝まないでおこう。そう夢羽は堅く心に再度誓った。
二人は手を繋ぐことなく、更に気温を上昇させるこの夏の空の下ボロ屋へと戻るのであった。
【喋った 怪異ランクD 解決】
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作者名:翔べないペンギン | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/Information/
作成日時:2021年7月21日 17時