Primrose (ページ26)

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２５° ページ26

部屋いるから、申し訳ないけど出来たら呼んでくれる？って翔先輩に言われてから20分。

翔先輩の部屋の前。

前までは先輩たちが呼びに行ってたから、私自身が翔先輩の部屋に来るの初めてだ。

ふぅって一息ついて、緊張でドキドキしている心を宥めてからコンコンって

ノックしようとした手を止めた。

中から翔先輩が話す声が聞こえて、電話しているのはすぐ分かった。

あと、女の人と話してることも、何となく分かった。

“明日の夜は…” とか

“じゃあ家行くから”とか ──── 。

きっと、彼女じゃない。

だって今日翔先輩から香ったのはバニラの香りじゃなくて、ローズっぽい香りだった。

きっと、違う人。

なんでそんなに、いろいろな人と関係を持つの?

私には、分からないよ。

ガチャって音がして目の前の扉が開いて。

翔｢あ、聞いてた？｣

表情を変えずにそう言った。

もしかしたら外に私がいるの気づいてたのかもしれない。

わざと聞こえるように言って、牽制してたのかもしれない。

これ以上、関わるなって、意味かもしれない。

“本当に翔ちゃんが好きなら、そのままの翔ちゃんを好きになってあげてよ”

ごめんね、二宮くん。

私は “そのままの翔くん”は、高校時代の翔先輩だと思ってるから

このままじゃ、ダメなんだよ……