Primrose (ページ20)

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１９° ページ20

翔｢なに？Aちゃん｣

ニコ～って笑ってそういう翔先輩。

笑ってるけど…笑ってないヤツ。

｢あ、ごめんなさい邪魔しちゃって。鍵、届けて欲しいって。相葉先輩からです｣

翔｢あ～。やっぱ家にあったんだ｣

ありがとって鍵を受け取ってポッケに入れて。

若干ビクつきながら言ったのは、やっぱり笑ってなかったから、目が。

あと、後ろに置いてかれた女の人の視線がめちゃくちゃ怖い。

｢すいません、お邪魔しちゃって｣

翔｢んーん全然。｣

現実逃避してたけど、いざ目の前にすると心臓をグサリと刺された感じ。

翔｢じゃ。届けてくれてありがと｣

またフッて笑って行こうとした翔先輩。

私、その笑顔好きじゃない

｢待っ、て下さい…｣

思わず腕を掴んじゃって、今までずっとポーカーフェイスだった翔先輩の表情が少し崩れた気がした。

｢あの、今日一緒にご飯食べませんか｣

翔｢え？｣

驚いた表情をした翔先輩の奥から、さっきの女の人が向かってくるのが視界に入った。

〇｢ちょっとぉ～翔くん何してんの？早く行こ｣

反対側の腕を掴んでエントランスに入ってった女の人からは、あのバニラの匂いがした。

珈琲を入れた、あの日の夜に会っていたのはあの人だって、知りたくなかったな。