Escape World 2

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振り向きざまそう言って笑うと、彼は俺の頭を止めることなく俯いた。


それは名前を呼ばれたことに対してか、バレたことに対してか。



iw「…」

fk「俺ね、夢の中に出てくる誰かに『ひかる』って名前付けたの。俺たちの前を照らしてくれるヒカリだって」



お前は？


長い年月がかかっちゃったけど、俺もお前もその名前で呼べるようになったんだよ？


…呼んでくれないの？



fk「俺は『ひかる』が照らしてくれる道を、皆で歩きたくて。俺が『ひかる』について行けば、他の奴らも着いてきてくれる。

そう思ってた。でも実際蓋を開ければそんな事なくて、皆同じ道を歩いてると思ってたのに、気づいたらバラバラだし、軌道修正しようにも着いて来れなかったり、背を向けられたり」



話しているうちに、色んな感情が込み上げてきて、頬を暖かいものが流れる。


ひかるが目を見開いたのは、俺のためだと思っていいよな？


大丈夫、皆と会えて嬉しいんだ。


だから笑うよ。



fk「でも皆、最後には同じ道へ進んだ。ちょっと1人だけ訳ありだけど……なんでだと思う？」




fk『皆がひかるを追いかけたから』




iw『……なんだよ、それ』




fk「あー、これキツいね。3セットしかしてないのに、腕超きつい。よくこれをあの阿部ちゃんがやったもんだよ」



無理矢理涙を拭って、思いっきり笑ったら涙は止まった。


大学生にもなって感極まってジムで泣くなんて…ダサすぎだろ。



iw「なら次は、背中の筋肉を鍛えますか？」

fk「良いのあります？」

iw「これとか、どうですかね。座って頂いて、手を上にあげて…あ、もう少し広く持った方がいいです。そのまま下げて…上げるを繰り返します」

fk「これ、腕にも効きますね」

iw「背中と腕のマシーンですからね」



俺は聞き逃さなかった。


さっき俺の言葉に、なんだよそれって返したのを。


覚えてたのかどうかなんて分からないけど、やっぱりひかるは変わってないんだって、思えた。



fk「岩本さん、あなたは何も覚えていないと言った。でも俺にはどうしてか貴方が嘘をついていることがわかる。きっと、仲間思いな貴方だからこその嘘だ」

iw「深澤さん背中曲がってます。姿勢よく」



ここまで来てまだ隠すか。

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