Escape World 2

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Ｎｏ．1の身体が傷つくのを見ても、俺は自分を止められなかった。


溢れ出る強い感情に思考を持っていかれていて、我に返って周りを見ると、気を失ったＮｏ．1の姿が俺の前に倒れていた。


そして何もかもを諦めた俺は、研究員に名前を告げて。


それからだ、記憶を消されたのは。


その後の俺にはその頃の記憶なんて無い。


Ｎｏ．1は俺にボコボコにやられたくせに、次会った時にはヘラヘラと笑ってた。


自己紹介する時なんて、俺の頭を撫でてたんだぞ？


怪我だらけのＮｏ．1を他のみんなも心配してたし、何より俺も…誰かに殴られたの？なんて、その頃は心配してた。


全部、俺がやったのに。


それでもＮｏ．1は笑ってて、大丈夫って。


俺は記憶を取り戻した後、皆に隠れてＮｏ．1に謝った。


土下座までした。


そしたらあいつ、なんて言ったと思う？



『思い出したんやったら、諦めてここにおり』



笑ってそう言った。


しかもちゃんとその後に、絶対に皆には言ったアカンでって釘まで刺されて。


それから数年後、俺達は脱出作戦を練っていた。


もちろん俺がＮｏ．1の秘密をばらした事は1度もない。


それを知ってか知らずか、その状況をＮｏ．1は浮かない顔で見ていた。


俺が皆にバラしていて、そのせいで脱出作戦が始まっていたら、全てを俺のせいに出来たら、Ｎｏ．1の苦しみを和らげることが出来たのかもしれない。


そう、この状況は彼にとって1番来て欲しくなかった…最悪の状況だ。



『Ｎｏ．1は……今、どうしたい』



好奇心だった。


すると今度は笑ったんだ。


それも空っぽの笑顔で。



『俺はもう、痛みなんか感じひんねん。……能力のテストだって、俺慣れたし、Ｎｏ．2も平気そうな顔してるし。

皆もいつか慣れるって。俺…嫌やで。皆おらんくなるのん嫌や。また、1人になる。

独りぼっち嫌やもん。そんなん嫌や。Ｎｏ．2だって、きっとここを出れば俺から離れて行くんや。……Ｎｏ．5なら分かるやろ？

皆家族おらんやん。捨てられたやん、独りぼっちやねん、Ｎｏ．5も。皆さ、ここ出てどこ行くつもりなん…行く場所なんか、帰る場所なんか無いやん！

ここにおればええねん…』



俺は止まらないその口を塞ぐために、また殴ってしまった。

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