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ab「……でも佐久間は、一生懸命頑張ってるよ?そんな言い方…」
「頑張ってる?阿部は何も知らねーのな。あいつ、仕事中にアニメ見てたり、新商品の提出期限守りなかったり、そんな奴だぜ?」
…初めて聞いた、そんな話。
本人から聞く話は家族の話だったり、仕事の話だったりと様々だけど、そんな話は聞いたことがない。
佐久間は俺の知らない所ではそんなだったってこと?
この時、どうしてか裏切られた気がした。
どうしてなんて言ったけど、実際のところ大体検討がついている。
青春を捨てた俺に、まともな友情なんてあるはずが無かったんだ。
ふっかだって、俺が挫折を味わってからやっと仲良くなれた存在だから、まともとは言えない。
この時の俺は、飲み込めない何かを喉に突っかえさせたままその場を離れた。
冷めきった心と息苦しさに口を開くことが出来なくて、御手洗に駆け込む。
1人になった途端一気に息を吐き出すと、絶え絶えしくなった。
そういえばこの後は佐久間の商品をどう売り出すか、資料をまとめて上司に提出するんだったな。
案の定今回も良くも悪くも普通の商品だし、少しくらいリメイクしても何も思わないだろう。
俺の頭の中には、裏切られた気持ちと自分ばかりの努力に嫌気がさしていた。
商品資料:佐久間大介
商品リメイク:阿部亮平
そうパソコンに打ち込んで、機能性とコスパを考えた新商品を作り上げ、上司へと提出した。
それは発売後異常にバズり、飛ぶように売れる商品となった。
売上金額は今までで最大級の額を叩きだし、そのコスパの良さから多くの称賛の言葉を受けることになる。
が、やはり佐久間は納得してくれなかったようだ。
sk「…阿部ちゃん、ちょっといい?」
俺は終始無言で彼の後をついて行き、会議室で席に着いた。
言いたい事は手に取るように分かる。
どうしてリメイクしたのか、どうして何の相談も無く進めたのか、だろう。
sk「何で俺に何も言わずにリメイクしたの?」
ほら、ね。
ab「俺は売れる商品を作らなきゃいけない。……そのためなら、何だってする」
sk「は?」
ab「売れたんだから良いでしょ。佐久間だって、賞の1つくらい取れたでしょ? 」
この時の俺は自分でも怖いくらい、言葉がスラスラと口から出ていた。
それが自分の気持ちだったのかどうかなんて分からない。
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花(プロフ) - 主さん» ありがとうございます^^*次はいわふかです、是非ご愛読頂けると嬉しいです! (2020年8月24日 7時) (レス) id: 3efdfc6162 (このIDを非表示/違反報告)
主(プロフ) - さくあべ完結おめでとうございます!!ゆり組もいわふかも楽しみにしています(*'▽')更新楽しみにしております、頑張ってください!! (2020年8月23日 17時) (レス) id: fe76b4d331 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:花 | 作成日時:2020年8月5日 6時