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櫻井先生はまた1歩俺に近づいた。
赤「能力者さえいなければ、彼が博士になる事も…俺が今こうして生きていることもなかった。君はどうしてこうなったと思う？」
櫻井先生は俺の答えを待つように黙った。
そんな事聞かれても分かるはずがない。
だって彼と出会ったのは今日が初めてなんだから。
俺が口を開こうともしない事を良く思わなかったのか、櫻井先生は笑顔を消して俺を睨んだ。
赤「お前らが逃げ出した挙句俺を殺したからだよ。
俺は元々あの施設の研究員だ。そして俺を含めた研究員をまとめていたのが、Ｎｏ．1の父親だった。彼は君達が逃げ出したと共に嘆いたんだよ。
どうしてよっと上手く君達をコントロール出来なかったのか…まだ研究は終わってないのに！！……その後なんて言ったと思う？」
『記憶と能力を次に継がせればいい』
赤「彼はそう言ったんだ」
記憶と能力を…次に継がせる。
もしかして俺達が今、前世の記憶を持っているのは…。
嘘だろ、全部…全部奴の掌の上だったってことか？
俺達がまた集まることも、分かった上で…
赤「出来るはずない。そう思ってたのにあの能力者はやった。自分に遺伝子サンプルとして残った5つの能力遺伝子のうち、1つを打ち込んで記憶を操る能力を増幅させ、君達の記憶を勝手に来世に繋ぎ合わせたんだ。
能力者は死んでも能力は死なない。それを利用してね」
だから、あの日Ｎｏ．1に命令を下し、研究員だけでなく俺達も殺させたっていうのか。
全ては、この日のために。
赤「この時代になって博士は言った。能力における最高傑作であるＮｏ．1とＮｏ．2だけあればそれでいい。その2つがあれば、不死の能力も崩壊の能力も…最終的に成功へと近づけることが出来る」
最終的に…俺にはそれが悪魔の言葉に聞こえた。
2人がどうなろうと関係ない。
研究さえ成功に導ければそれでいい。
そんな風に。
櫻井先生はまた俺に1歩近づいた。
赤「そんな事のために俺達は使われてるんだ。博士にここで話すことは聞かれていない。君達には…いや、君にはこの話をするべきだと思った」
博士は、研究が終わりさえすれば彼を返してくれる。
続けて櫻井先生はそう言った。
fk「そのために、Ｎｏ．1とＮｏ．2の事は諦めろとでも言いたいんですか」
赤「やっぱり君に話して良かったよ。話が早くて助かる」
fk「ふざけてんのかよ…んなのはい分かりましたって言うわけねぇだろ！！」
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作者名：花
| 作成日時：2020年6月1日 16時
