Escape World 3 (ページ27)

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まるで、前までの自分を見ているようだった。

はたまた、それは自分がもう1人の彼だからそう感じてしまったのか。

否か然りのどちらが答えは分からない。

だけど、その顔を見ているだけで俺まで苦しくなる。

kj「……ごめんな、昔からずっとそうやった」

Ｎｏ．2は俺が謝る度に、感情を失ってるはずやのに困ったような顔をしてた。

まるでそこには感情があるようで、俺を気遣ってるみたいで。

きっと謝らないでって言いたかったんやろうな。

やから、これで最後にするわ。

Ｎｏ．2に、阿部ちゃんにこの件で謝るのは。

kj「あべちゃーーーん！！！」

fk「康二…」

今出せる声を一気に向けると、驚いたのかこちらを向いた。

目を合わせて俺は、崩壊の能力を彼に向ける。

阿部ちゃんの目に映る俺の橙色の瞳は、一点の曇りもなく光り輝いていた。

でも壊さない。

あの頃は出来なかったけど、今なら出来る。

彼の記憶の中にあるパスワードがついた鍵。

それだけを壊す。

途端、阿部ちゃんは崩れ落ちた。

咄嗟にそれを佐久間君が受け止めて、数秒後、阿部ちゃんの唸り声が聞こえた。

上手くいったんだ。

ああ、やっと…助けられた。