Escape World 3 (ページ24)

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kj side

あいつに何かを入れられて、目の前が真っ暗になった。

それどころか声も出せんくて、段々と皆の声も遠ざかって行った。

一体何が起こったのか、みんながどうなったのか。

また俺は、あいつに逆らうことも出来ず皆を裏切ってしまった。

その事実がこの状況を産んだんやとしたら、自業自得やな。

……ここには誰もおらん。

孤独。

俺はあの時同様、独りぼっちで動けない。

物心が着いた頃から俺の周りに俺を必要としてくれる人はおらんかった。

ただ唯一傍におってくれた何も喋らない男の子は空虚な目でよく天井を仰いでた気がする。

話しかけても返答はないし、その子はよく部屋から連れ出されてたりして、よく俺は真っ白な広い部屋に三角座りでうずくまっていた。

唯一話してくれてたのは関西弁の研究員さんだけ。

まあ、その人も顔と名前も覚えんままどっかにおらんくなっちゃったんやけど。

まだ俺が3歳の頃の話。

あの頃はまだちゃんと痛みを感じてた。

でも、自分が死ねない事くらいは分かってたんよ。

幼いながらに、父親から愛情の1つも向けられたことがない事もね。

気付いた頃には暴力を振るわれるようになってて、お前はこうやって使われる以外に価値のない存在だと言われるようになった。

だから、Ｎｏ．4以降の人達の中にはそれぞれの苦しみを胸に、俺を殴った人もしばしば。

でもそれがなかったら俺には価値が無くなる。

そう思ったら、殴られる事が当然なんだと感じるようになってた。

でも皆は俺を殴った時のことなんか覚えてない。

やから、できる限りまた独りぼっちにならんように、皆に馴染めるようにって頑張って、笑って。

そしたら皆優しいから、俺を仲間やって言ってくれてん。

仲間、そんな言葉知らんかった。

あの頃は説明されてもよく分からんかった。

でも良い言葉なのは分かってん。

だから言われたことの無い愛情の篭った言葉に嬉しくなった。

やのにある日、皆は研究所から出ると言い始めた。

軽く絶望したよ。

そんな事されたら、俺また独りぼっちになるやん。

元々俺にはあの研究所から出ようなんて選択肢は無かったみたいで、必死にでも嫌われんように皆を止めた。

そしたら、お前も一緒に行くんだよって言ってくれて、それがまた嬉しくて。

皆のため…そう思ったはずやのに、あいつに殺せと言われた俺は、ほぼ無意識のうちに皆を殺してしまっていた。