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康二の目からは光が消えていて、阿部ちゃんは表情をピタリとも動かさない。
まるで2人ともあの頃に戻ったようだ。
「そうだなぁ、Ｎｏ．2からは現世の記憶を消して、Ｎｏ．1には誰が主なのかを教えてあげた…ってとこかな？」
iw「そんな…」
緑「なんで、そんな事…」
sk「…Ｎｏ．2、俺だよ。Ｎｏ．3だよ。分かる？」
佐久間は恐る恐る笑ってそう聞いた。
阿部ちゃんは変わらない表情で分かると一言呟いて、佐久間を見つめる。
その目は虚無で、何を考えているのか察しもつかない。
sk「こっちおいで？その博士は敵なんだ」
ab「どうして」
sk「どうして、って…」
ab「博士は俺を作った。敵ではない」
俺を作った、か。
そういえば阿部ちゃんは元々人間で、人工能力者だ。
物は言いようと言うけど、作ったとか、作品とか…そういうのは度が過ぎてる。
nb「康二、何があったの」
kj「俺は…」
「康二、ね」
fk「何がおかしい」
口を抑えて笑い出す博士は苦しそうにお腹をさする。
その間も康二、康二と何度も名前を呼んで手を叩いた。
「ふははは！驚いたよ。今も昔も同じ名前を持ってるなんてね」
iw「どういう意味だ」
「そのままだよ」
赤「最高傑作…それを作って、どうするつもり？」
そう櫻井先生が聞けば、博士はゆっくりと指を顎に添えて首を傾げた。
もしかして作ったあとの事は考えてなかったのか？
どうやら本当に考えていなかったらしく、声にならない声で考え始めた。
こればかりは俺達も呆れざるを得ない。
「じゃあ康二、どうしたい？」
kj「え…」
「あーごめんごめん。自分で考えるという選択肢を与えてこなかった君には答えなんて導き出せないよね。Ｎｏ．2なら…どうしたい？」
こいつ、最低だ。
不思議そうに康二と博士を見比べる阿部ちゃんは困ったように俯いた。
泣きそうになりながらもその場を動けないでいる康二は、ただその場に立っていた。
kj「っ…」
nb「てめぇ！」
dt「翔太、落ち着いて」
舘さんが咄嗟に翔太を制してくれたけど、俺も飛びかかりそうになってたし、舘さんがいてくれて助かった。
未だに阿部ちゃんからの答えを待つ博士は優しい瞳で阿部ちゃんを見つめる。
ab「皆と楽しく暮らせれば、それでいいです」
顔を上げてそう言った阿部ちゃんに、俺達は少しだけ安堵し、博士は優しい顔をした。
「Ｎｏ．2にも感情が生まれたか。それは良かった」
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作者名：花
| 作成日時：2020年6月1日 16時
