愛のかたまり106 ページ9
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二人で部屋に帰った後。
あ「ご飯食べた?」
紫「食べた」
あ「お、お風呂入る?」
紫「入る」
ただ私の言葉に返すだけの彼。
明らか不機嫌なのが窺える。
原因は分かってる。
はぁ…なんで酔っ払っちゃったんだろう。
芋焼酎なんて飲まなきゃ
こんなことにはなってないはずなのに。
激しく後悔しながら
水を飲もうと冷蔵庫から
ミネラルウォーターを取り出し、
ドアを閉めた瞬間、
あ「ヒィッ…!」
ムッとした表情でいつの間にか私の前に
佇んでいた紫耀ちゃん。
デジャヴ…?
あ「驚かさないでよっ」
心臓止まるかと思ったじゃない。
あ「…な、なに?」
隣から痛いほど感じる視線。
チラッと彼の表情を見れば
何か言いたそうな顔をしている。
紫「なぁ、言っていい?」
言いたいことがある時、
必ずこの台詞を前置きにして
言うのが彼の癖。
あ「いいよ。」
.
途端、嫉妬を口にしながら
紫「なんで腰触られてんの?」
あ「ひっ」
タツヤに支えられた腰をツー…となぞられ
紫「いくら友達でも距離近すぎ」
あ「きゃっ」
そのまま腰に腕を巻きつけて
グイッと自分の方へ引き寄せ、
紫「最後の頭ポンなに?」
あ「紫耀ちゃっ…いたっ」
首元に顔を埋め、
チクッと一瞬だけ痛みが走った。
紫「他の男に酔ってるとこ
見せないでもらっていい?」
私の見下ろすその瞳は、
嫉妬の光を帯びた目つきをしていた。
それから最後に彼は、
紫「…あまりこういうこと
言いたくないんだけど、」
私を真っ直ぐに見つめながら
紫「栗原監督とあまり連絡取らないで」
そんなことを初めて口にした。
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作者名:rion | 作成日時:2019年3月27日 16時