愛のかたまり06 ページ6
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可愛くないなぁ…。
自分でも思う。
どうして素直に言えないのかな。
あ「さっ。お風呂入ってこよーっと!」
頭では分かってても、
口から出るのは全く別のこと。
逃げるように脱衣所まで向かおうとして、
紫「違うでしょ。」
腕を引っ張られ、そのまま座り直される。
紫「ちゃんと言って。」
紫耀ちゃんがそう簡単に
逃がしてくれるはずない。
ゴクリ、と生唾を飲み込んだ。
あ「…す…、き…」
喉の奥から縛り出した声は蚊の鳴くような声で。
ちゃんと気持ちを伝えることが出来て
ホッとしたのも束の間。
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紫「それだけ?」
…ん?
彼はまだ足りてない様子。
紫「ちゅーは?」
…
…え?
唐突すぎる発言に目を丸くする。
あ「…しなきゃダメ…?」
完全に彼のS心に火がついてしまった。
普段は優しいくせにこういう時だけ
いつも意地悪だ。
立場が逆転してる。
紫耀ちゃんの前であんなこと言わなきゃ
良かったと後々後悔した。
紫「うん。」
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一段と早くなる鼓動。
心臓の音がドラムを鳴らしてるみたいに
身体中に響いていた。
意を決し、ゆっくり彼に近付く。
あ「…目、瞑ってほしいんだけど…」
そう言うと素直に目を瞑って
待ち構える紫耀ちゃん。
あと数センチ。
淡いピンク色で血色の良い、
ぷっくりした弾力のある唇。
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そっと自分の唇を重ねた。
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作者名:rion | 作成日時:2018年12月6日 15時