愛のかたまり33 ページ33
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そう言う彼の声色からは怒っってるようには
感じない。
かと言って拗ねてるような感じでもなくて。
低くて落ち着いた甘いハスキーボイス。
あ「…まぁ…たまに…ね。」
紫「重い?」
あ「…うん、ちょっとだけ。」
けれど、それが嫌だと思ったことは
一度もない。
それが、彼なりの愛情表現だから。
少しだけ広がる沈黙の後。
紫「監督とはどういう関係?」
あ「栗原くんのこと?
高校時代、同じクラスだった同級生だよ。」
紫「そうなの?よかったー」
あ「ふふっ。気にしてたの?」
紫「…結構親しげだったから。」
まぁ監督のことくん付けで名前呼んでたら
どんな関係なのか気になるよね。
紫耀ちゃんを不安させちゃって
申し訳ない気持ちになった。
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紫「…A。」
あ「んー?」
すると、腰に巻き付いてる腕の力が強くなり、
更にぎゅっと抱き締められた。
紫「…好きだよ。」
あ「…私もだよ。」
彼の言葉に素直に応える。
紫「離れてかないで。」
あ「…どうしたの?急に。」
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珍しく今日の紫耀ちゃんは弱々しい。
とても弱く、どこか不安そうで。
切実な声。
普段は人に弱いところなんて見せない彼が、
時折見せる姿はとても貴重だ。
弱ってる彼も
甘えてくる彼も
私だけしか知らない彼の一面。
これが彼女の特権ってやつなんだろうか。
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作者名:rion | 作成日時:2018年12月6日 15時