心憂い【Sho.Hirano】 (ページ2)

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《カット！平野くん今のいいよー》

『ありがとうございます！』

平野さんが戻って来る前に、椅子を準備する。

『すみません、水ありますか？』

「、あ！すみません！今取って来ます！」

『ふは、ゆっくりで大丈夫ですよ』

私はなんて気が利かないんだ…と反省しながら

全力で走り水を渡す。

「平野さん！どうぞ…」

『もう、
ゆっくりでいいって言ったじゃ無いですか笑』

走って来た私を見て、こんなイチスタッフの、

しかも気が利かない新人の私に、

ありがとうございますと

ご丁寧にお辞儀をしてくれる平野さんは

とてもいい人だと思った。

《平野くん次のシーン入りまーす》

『わかりました！』

元気よく返事をすると、

『これ、持っといてくれませんか？』

と渡された台本とさっきの水。

わかりました、と受け取ると、

ありがとう、と

私の頭の上でぽんぽんとバウンドする、

平野さんの手。

…少し、驚いた。