好きだった【S.S】 (ページ2)

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1.スクールバス1 ページ2

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今日は疲れた…

一人娘の私は幼少の頃から
ひととおりお稽古ごとしてみて…

この春からクラシックバレエだけに
集中するって決めた…

今まで、ピアノも日舞も書道も華道も
自宅に先生が来てくれてて…

バレエとスイミングだけ
それぞれ週1で送迎されてたけど…

バレエだけにするって決めてから、
ちょっといい先生のクラスに入り、
平日は毎日スクールバスで
レッスンに通うことになった。

新しいクラスでは、新人扱いで、
難易度の高いことはまだ要求されず
いつも早めに解放されるのに
その流れにさえなかなか馴染めなくて…

今日は少し先生とお話したから
いつもより遅い時間のスクールバスに
ギリギリ乗り込む。

オーナーが自社ビルに音楽教室とか
いろいろな教室を経営してて
都内循環のスクールバスが、毎日数本出てる。

今日始めてこの時間に乗ったけど、
ほぼ満席？
ここのバスは、生徒のみだから、
乗る人数も限られてることもあって、
2つ並びの席に、ひとりで
荷物と一緒に座るのが暗黙の了解で、
一緒に座ってるのは、まれにいる親子か、
小さいきょうだいくらい。

前のほうの席はひとり席。
楽器持ってる子や、着替え持ってる子は
荷物多いから、前に乗ったら、みんなが
降りる度に荷物退けなきゃなんない。

私も着替え持ってるから、いつも
ふたつならびの席に座ることにしてる。
基本的に後ろの席から詰めて乗るけど…
ん？後ろに、なんか
空いてる席がありそう？

奥へ奥へ通路を進んで…

「あ」
空席だと思ってたのに
小さい男の子が、俯いて、楽譜に書き込みしてた。

私の声に顔をあげる…

天使か？

白い肌に、清潔そうな白シャツ。
目がくりくりして綺麗な二重と、赤い小さな口。
賢い子が行くところの、紺の制服着てる。
横にはランドセルみたいな通園かばんと
ここのレッスンバック。

その子は、きゅっと体をのばして
車内の状況を理解したらしく
楽譜を畳んですぐレッスンバックに入れ、
素早く横の席の通園バックを
自分の膝の上に載せた。
小さい体に、荷物いっぱい…

しばらく見とれてて…
ハッとする

A「いいの？」
男の子「早く座んないと出発できないよ」
A「あ！ありがとう」

私の着席を待ってスクールバスが発車する。
天使かと思ったけど、ふわふわしてない…
賢そう…
でも年長さんくらいかな？
思わずじろじろみちゃう…