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「・・・で、お前は何しに来たんだよ、こんなとこで、ずっとスマホ見て」
なんて言いながら、私のスマホを覗いた櫻井くんは
「・・・何、引っ越し、すんの?」
って眉間に皺を寄せて聞いた。
「うん、まあね」
「・・・もしかして、結婚、すんの?」
「なんでそうなんの?しませんけど!なんなら、相手いませんど!セクハラ!喧嘩売ってんの!」
「俺は上司じゃねえから、セクハラじゃねえだろ!喧嘩も売ってねえわ!・・・じゃあ、なんで探してんの」
そう聞かれて、
「今さ、会社の近くに住んでるんだけど、大家さんが高齢で入院することになっちゃって。息子夫婦が、ぼろアパート壊して、駐車場にするんだって」
って簡単に説明すると、
「けど、そういう貸主都合の退去は急ぐ必要ねえんじゃねえの?」
って言う。
さすが物知りだな、社長さんは。
「法律的には貸主都合の退去だから、半年とか1年後でいいらしいんだけど」
「だろ?」
「だけど、私が今んとこに居座って、入院する大家さんに余計な心配かけたくないかなぁって」
って言うと、
「・・・お前が嫌じゃなければ、相談乗るけど?」
って私をまっすぐに見つめた。
5年も経って、日本中から注目される存在になって、変わってしまったと思っていた櫻井くんが、昔と変わってなくて、5年も会ってなかったのが嘘のように感じた。
「櫻井くんは忙しいんでしょ?今日だって遅刻してきたし」
「今日は休み!仕事できる奴は、ちゃんと休むんです」
「ふーん・・・遅れて来たから仕事かと思った」
「ま、主役は遅れて来るもんだよ」
「主役は教授でしょ!」
「だな」
なんて言って2人で笑った。
櫻井くんと話していても、周りからの視線はずっと感じてた。
「さすがだね、今をときめく社長さんは、どこに行っても大注目だね」
って言った私に、
「魂胆見え見えだろ」
って櫻井くんは笑いながら言った。
私が知ってる櫻井くんと、物事の捉え方が変わらないな、なんて思って、ほっとした。
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JUMP©(プロフ) - はじめまして。今まで見た櫻井くんの小説の中で1番面白かったです!最高すぎです! (2018年3月20日 23時) (レス) id: 6d0fd0d2ee (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - もぉ「サイコー」の一言です>^_^<潤くんと斗真くんの素敵なアシストで…やっと一緒になれた二人(*^艸^*)仲間っていいな♪ (2017年10月29日 10時) (レス) id: b4753fc97a (このIDを非表示/違反報告)
くま - 初めまして。最高でした!これからも読ませていただきます (2017年2月7日 18時) (レス) id: 580296d8bb (このIDを非表示/違反報告)
かな。(プロフ) - あたしも たまらんです(ToT) ココロあたたまるぅー(ToT) これから他のおはなしも読ませていただきますm(__)m (2017年1月31日 0時) (レス) id: a6a05aa3cf (このIDを非表示/違反報告)
ayan(プロフ) - 完結おめでとうございます(*´艸`*)たまらんです! (2017年1月29日 23時) (レス) id: e9b28d9f07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:でいじぃ | 作者ホームページ:
作成日時:2017年1月23日 19時