恋愛対象外【0125BD】

5. ページ5

彼が、同窓会に来るかなんて、わからなかった。

来ないかもしれないって思った。



卒業してから８年。

卒業後も生田くんや松本くんから、飲み会に誘われて行っていたから、櫻井くんに会うことはあったけど、そこに行かなくなって・・・５年。


もう５年は顔も見ていないし、話もしていない。

だから、彼が同窓会に来たからって、私が彼と話せるとも限らない。

実際、あれだけの人に囲まれてたら、あそこにいる人の対応してるうちに、同窓会なんて終わっちゃうよ。



５年も会ってないから、あそこにいる彼は、私が知ってる彼じゃないんだろう。

そんなことを思って・・・正直、私はここに来たことを後悔していた。



早く終わんないかな・・・そう思いながら、バッグからスマホを出した。



.




.



同窓会のハガキの参加に丸を付けて投函してすぐ。

大家さんが申し訳なさそうにやってきて、今住んでいるアパートを出てかなきゃならなくなった。

とにかく会社に近いところで探したけど、会社近くは家賃が高くて。
そんな中、お風呂とトイレも部屋にあるのに、建物が古いからって家賃が安い物件に飛びついた。

家に誰かを呼ぶこともないし、寝るだけの部屋だから、そんなに広くなくても、新しくなくてもよかったから。

なのに、大家さんが入院することになって、大家さんの息子さん夫婦は、建物の老朽化が進んでいるから、建物は壊して、駐車場にすることにしたんだそうで。

「ごめんね、Aちゃん」

「いいのいいの、それより、大家さん、体、大丈夫なの？」

「そんな大したことないんだけど、なにせ歳だからね」

って言った大家さんは寂しそうに笑った。



大家さんは半年をめどにって言ってたのに、次の日やってきた息子に

「なるべく早く出て行ってください」

って言われた。




.

6.→←4.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す