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櫻井くんは手に持っていた缶ビールを目の前のテーブルに置くと、小さく息を吐いた。
「ま、それなりにモテたわけよ、俺」
「今でもモテるでしょ?」
「・・・まあね」
「・・・」
「”付き合って”って言われて、彼女いないし、まぁ見た目かわいいし、付き合ってもいいかな・・・みたいな、そんな男だったわけよ」
そう言いながら、ふっと笑った。
「良く知らない女と、酔った勢いで・・・ってこともあったよ、正直」
「・・・」
「サイテーだよな、俺」
「・・・」
「そんな女にはさ、俺、簡単に手出せるわけよ」
「・・・」
「もし、その女に避けられようが、俺は痛くも痒くもないから」
櫻井くんは、私の顔を見ないで、目の前に置いた缶ビールを見つめたまま・・・そう言った。
「相手がA、だから、間違いは起こしたくなかったから・・って信じてくれる?」
そう言うと、自信なさげな瞳で私を見つめる櫻井くん。
櫻井くんの瞳を見て、小さく頷くと、
「今日、Aを部屋に呼んだのは、友達としてじゃない」
って言うと、私をまっすぐに見つめた。
だけど、まだ、櫻井くんの言葉が信じられないのは・・・私が面倒くさい女だから。
「・・・今日は、酔った勢いじゃない?」
そう聞いた私に、
「俺、今日、長瀬くんとこで、ビール2杯と、家に帰ってこれ飲んだだけ。そんなんで酔うわけないっしょ?」
ってふっと笑った。
「私が好きって言ったから、付き合ってやってもいいかなって思った?」
そんな私の面倒くさい一言に、櫻井くんの瞳が鋭いものに変わって、
「俺の気持ち、全然伝わってないのな」
そう呟くと、私を射るように見つめた櫻井くんの瞳から、目が逸らせない。
「今日は、友達だから呼んだわけでも、間違いでも、酔った勢いでもないから」
って言い終わるとすぐ、櫻井くんの赤い唇が私の唇に重なった。
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JUMP©(プロフ) - はじめまして。今まで見た櫻井くんの小説の中で1番面白かったです!最高すぎです! (2018年3月20日 23時) (レス) id: 6d0fd0d2ee (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - もぉ「サイコー」の一言です>^_^<潤くんと斗真くんの素敵なアシストで…やっと一緒になれた二人(*^艸^*)仲間っていいな♪ (2017年10月29日 10時) (レス) id: b4753fc97a (このIDを非表示/違反報告)
くま - 初めまして。最高でした!これからも読ませていただきます (2017年2月7日 18時) (レス) id: 580296d8bb (このIDを非表示/違反報告)
かな。(プロフ) - あたしも たまらんです(ToT) ココロあたたまるぅー(ToT) これから他のおはなしも読ませていただきますm(__)m (2017年1月31日 0時) (レス) id: a6a05aa3cf (このIDを非表示/違反報告)
ayan(プロフ) - 完結おめでとうございます(*´艸`*)たまらんです! (2017年1月29日 23時) (レス) id: e9b28d9f07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:でいじぃ | 作者ホームページ:
作成日時:2017年1月23日 19時