17. ページ17
いつもよりヒールの高いパンプスを脱いで部屋に入ると、足が縺れて持っていたバッグが大きな音を立てて落ちて、その拍子にバッグの中身が部屋に飛び散った。
スマホと財布を拾うと、目に入った1枚の紙。
【代表取締役社長 櫻井 翔 】と書かれた・・・みんなが欲しがっていた名刺。
だけど、私には必要ない。
名刺を裏返すと、携帯番号と、LINEのIDが、見覚えのある櫻井くんの文字で書かれていた。
文字を見ただけで、心がぎゅっと苦しくなった。
名刺を渡す時に書いてなかったから、前もって名刺の裏に書いておいたのかな。
誰か、気に入った女の子・・・私とは正反対のかわいらしい子がいた時のために用意してたんでしょ。
私から、連絡なんてできっこない。
また、こんな思いをするなんて、もう嫌。
もらった名刺をクシャっと丸めて、ごみ箱に向けて思い切り投げた。
どんどん溢れる涙でよく見えないせいか、それは、ごみ箱には入らず、ごみ箱に当たって跳ね返って・・・転がった。
バッグから飛び出して床に転がっていたスマホがブルブルと震えて黒い画面にポップアップが表示された。
それを手に取ると、
”「潤」A、大丈夫?”
って松本くんからのLINE。
だけど、返信なんてできなくて、電源を切ると、スマホをテーブルの上に置いて、今日のことは全部忘れようと思って、お風呂に入った。
お風呂から出てくると、目に入ったのは、さっきゴミ箱に投げて入らなかった櫻井くんの名刺。
くしゃくしゃになった名刺を手に取ると、皺を伸ばして、財布を手に取ると、財布の中にそっとしまった。
名刺は捨てなかったけど、携帯番号も、LINEも登録はしないまま。
それでいい。
もう、私と櫻井くんに接点なんて、何もないんだから。
.
3193人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
JUMP©(プロフ) - はじめまして。今まで見た櫻井くんの小説の中で1番面白かったです!最高すぎです! (2018年3月20日 23時) (レス) id: 6d0fd0d2ee (このIDを非表示/違反報告)
とも(プロフ) - もぉ「サイコー」の一言です>^_^<潤くんと斗真くんの素敵なアシストで…やっと一緒になれた二人(*^艸^*)仲間っていいな♪ (2017年10月29日 10時) (レス) id: b4753fc97a (このIDを非表示/違反報告)
くま - 初めまして。最高でした!これからも読ませていただきます (2017年2月7日 18時) (レス) id: 580296d8bb (このIDを非表示/違反報告)
かな。(プロフ) - あたしも たまらんです(ToT) ココロあたたまるぅー(ToT) これから他のおはなしも読ませていただきますm(__)m (2017年1月31日 0時) (レス) id: a6a05aa3cf (このIDを非表示/違反報告)
ayan(プロフ) - 完結おめでとうございます(*´艸`*)たまらんです! (2017年1月29日 23時) (レス) id: e9b28d9f07 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:でいじぃ | 作者ホームページ:
作成日時:2017年1月23日 19時