キャニング・ウルフ -S.Hirano-

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「なるほど…思った以上につまんねー話だな！正直、犯人をネタバレされた後に読む推理小説よりつまらない」



「別に良いですよ。平野さんに面白がってもらうために恋してるわけじゃないんで」



平野さんが死なないで済むように、と思ってせっかく話してあげた私と廉くんの思い出や近況は平野さんに一蹴された。



予備校の自習室で勉強していた時、たまたま右隣に座っていた左利きの廉くんと何度も腕がぶつかったこと。

腕がぶつかって何度も謝るのが可笑しくて笑ったこと。

それからは廉くんが左、私が右になるようにいつも隣り合って座ったこと。

一緒にお弁当を食べながら色々おしゃべりして仲良くなったこと。

お互いの大学合格が決まったときに告白してくれたこと。

毎日使えるようにリュックをプレゼントしてくれたこと。

私は廉くんに似合いそうなネックレスをあげたこと。

最近でも頻繁に電話でやり取りをすること。

などなど…



「そのクソダサいリュック毎日持ってるとは思ってたけど、彼氏からの罰ゲームってことか」

「ヤクザみたいな服装の人に言われたくないですから！」

「写真見せろ、その廉くんとか言うヤツの写真」



私はスマホに保存してあった卒業してすぐ廉くんとUSJに行った時の写真を平野さんに見せた。



「何かコイツガリガリだし黒いしオタマジャクシみてぇな顔してんな！」



平野さんがもし締め切りに間に合って神宮寺さんに殺されずに済んだら、私が彼を殺そうと心に決めたとき、平野さんが持っていた私のスマホが鳴り始めた。

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