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廉「A！」
若干暗くなりかけた空の下。
夏の蒸し暑さが残り
少し額に汗を滲ませながら
グラウンドの真横を通ると
遠くから聞こえてきた大きな声に
耳を傾ける。
「あ、廉。お疲れ様。」
サッカーのユニフォームを纏い
汗で髪が濡れた廉は
無邪気な笑顔を向け
大きく手を振りながら
駆け寄ってきた。
廉「お前、今から帰るん？」
「うん、そうだけど」
廉「じゃあちょっと待っといてや」
「は？やだよ」
廉「すぐ戻ってくるから！」
私の返事は聞こえなかったのか
一方的に言葉を浴びせられると
軽い足取りで廉は背を向け走り出す。
もう一度強く念を押されたことで
私は渋々その場で立ち止まり
ブレザーのポケットからスマホを
取り出し時間を潰していた。
「……あ」
大きなグラウンドに大勢の
サッカー部の部員が散らばる。
各々ストレッチをしたりする中、
一人私の目には違って見えるその姿。
「平野先輩…」
綺麗なその横顔に思わず息を飲んだ。
サラサラな髪の毛が汗に濡れる
そんな姿が何故か幻想的に見えて。
まるで先輩の周りだけが
異世界のように感じる。
思わずスマホを向けると、
カシャ、と小さく音を鳴らした。
「あれ、私何してんだ、、」
しかし手元の画面を見つめるけど、
既に日が沈んで暗いせいか
ほとんど何も写っていない。
廉「お待たせ！」
余程自分の世界に入り込んでいたのか
そんな声が聞こえるまで
廉が近くに来ていたことに
私は一切気付かなかった。
廉「ん？それ何の写真？」
「…っ……、別に何でもない！」
無造作にポケットにスマホを放り込むと
廉より先に学校を出る。
廉「ちょ、待ってや！」
慌てて私を追う廉を無視して歩き進め
なんかとか心を落ち着かせて
未だ尚頭から離れていかないその横顔を
無理矢理忘れるように
私は広い空を仰ぎ見た。
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みう(プロフ) - こころさん» コメントありがとうございます^^今までの作品も読んでくださりとても嬉しいです、そして温かいお言葉の数々も嬉しい限りです(；；)これからも是非お付き合い頂けると幸いです。今作もご愛読ありがとうございました！ (2020年10月23日 23時) (
レス) id: 3c79c161a1 (このIDを非表示/違反報告)
こころ(プロフ) - 完結おめでとうございます！みうさんの作品読んでます、いつも切ない感じで恋愛ってそんなに上手くはいかないもの、人の気持ちってそんなに簡単にいかないものって現実を見せられてる気がします。いつも素敵なお話ありがとうございます！また新作も楽しみにしてます！ (2020年10月23日 22時) (レス) id: f2c5e943bf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みう
| 作成日時：2020年9月16日 17時
