2006/6/4 #1 ページ24
本当にひさしぶりに、
彼のことを思い出す時間を作って。
自分も少しは成長できたんだなあと知った。
昔なら、こんな風にあの頃を思い返していたら
涙を流しながら思い出に浸っていただろうけど。
今はもう、なんていうか。諦めがついたというか。
そんなに傷は深く感じなかった。
彼のことを考えながら眠りについて、
そのまま朝を迎えたらなんだかむしろすっきりして。
今までとは違う。もう潮時なのかも。
あれからもう三年も経ってしまった今、
側から見れば遅すぎるかもしれないけれど。
やっと、ようやく、本当の意味で諦めがついたよ。
いつも心のどこかで、
彼を待っている自分がいて
彼の連絡を、変わらない想いを、
期待してしまっていたけれど。
…もう、それもやめた。
由莉[こちらこそ昨日はありがとう！
Aのおかげで最高な1日になったよ！
昨日紹介した伊藤さんいるでしょ？
彼がAとゆっくり話したいって将也に連絡があったみたい。よかったら考えてみて？
…もうそろそろ、いいんじゃない？A。]
由莉から、昨日帰ってから送ったメールの返信が来ていた。
昨日の由莉の晴れ姿と、幸せな情景が目に浮かぶ。
素敵だったなあ。
思い返すだけで顔がほころんでしまうほど。
…伊藤さんっていうのは、将也君の友達で。
昨日テーブルが一緒だからと、2人から紹介された。
由「もうそろそろ、いいんじゃない？」
文面が由莉の声になって飛んでくる。
今までだって何度も、言われてきた言葉だから。
“いい加減諦めて、次の恋をしなよ。”
由莉はそんな風に思っていてもおかしくないのに、
一度もそんな言い方をしなかった。
そろそろ、とか、いいんじゃない？とか、
抽象的でやんわりとした言葉だけれど。
むしろ、それに救われていた。
いい加減諦めるべきなのも、
いい加減次の恋を探す努力が必要なのも
わかっていた、でも、出来なかった。
それをわかってくれていた由莉は、やっぱり優しい。
「…いいよね、もうそろそろ。」
自分しかいないこの部屋で呟いたのは、
自分への決意の意味も込めていたから。
[由莉の幸せそうな姿みて、私もああなりたいなって思ったよ…！だからちょうど頑張ろうとしてたところ。笑
伊藤さん、あんな素敵な人なのにありがたいな。
私から連絡してみるね！]
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 108人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
らびりんす(プロフ) - 柚さん» はじめまして！ありがとうございます、嬉しいです(^^) (2017年5月9日 12時) (
レス) id: f1ca372844 (このIDを非表示/違反報告)
柚(プロフ) - はじめまして。このお話のファンです！これからも楽しみにしています(*^-^*) (2017年5月9日 3時) (レス) id: 4a5934561b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：羊羽 | 作成日時：2017年3月27日 8時
