夜の海 ページ17
夜の海は、月明かりと街灯の灯りがあったとしても、深く暗い色をしていた。
じっと眺めていると、横から翔が動くのが見えて何かと思えば、胸ポケットから煙草を取りだして吸い始めた。
海を見ながら、タバコを吸う姿は、どこか儚げなんだけど美しい。
男の人に"美しい"という言葉は似つかわないかもしれないけれど今の翔の姿はその言葉がピッタリだった。
翔「なあ。」
翔がタバコを吸いながら、私ではなく海を見ながら話しかけた。
「なに？」
翔「許婚って、なんだと思う？」
突然何を言うのかと思って翔を見れば、翔は相変わらず海を眺めたままタバコを吸っている。
「許婚は、将来結婚を約束されていることだと思う。でも家庭によるけど、嫌だったら解消をすることだって出来るんじゃないかな。」
私は何を言われるのか怖くて俯く。
翔「解消、ねぇ...」
翔がボソッと言った。
「解消、したい？」
いつの間にか口走っていた言葉。
本当はしたくないのに、翔にそんなこと考えてほしくないのに口に出していた。
その言葉の答えが怖すぎて、ぎゅっと手をグーにして、目もギュッと瞑って我慢する。
翔「分からない。」
そしたら、白黒ハッキリさせる翔が珍しく答えを濁すように答えた。
翔「Aとずっと今みたいにバカやったり、話したりしていたい。だけどそれだけのためにAを縛り付けるのは嫌だ。」
いま翔はどんな顔をしてるんだろう。
翔はどんな思いでその言葉を言っているのだろう。
勇気を出して見上げれば、翔は眼鏡をはずして私を見ていた。
翔「散々悩んだけど、"Aには幸せになってほしい"っていう考えしか思い浮かばなかった。」
そう言って、翔が微笑む。
儚げに見えるのは、どうしてなんだろうか。
翔「だからAに結婚したいと思える人が現れたら、俺に言え。」
翔はそう言いながら、私の頭をぐしゃぐしゃと乱した。
私はどう答えたらいいか、分からなくて何も言えなかった。
ここで告白したとしても、翔は困るだけなんじゃないか。
今、"私が結婚したいのは翔だよ"と言ったら、翔がどういう反応をするのかが分からない。
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あーとlove - 初めましてですね！コメントありがとうございます。次回は、翔の本音が聞けると思いますのでどうぞお楽しみに！ (2016年7月19日 1時) (
レス) id: e78417d479 (このIDを非表示/違反報告)
櫻葉みるくてぃ(プロフ) - はじめましてかな？このお話はきっとはじめまして！続きがきになりすぎます！いい話を作りますね！！ほんとに！！！！月9とかより断然面白い！！これからも期待してます。次の更新待ってます！！！ (2016年7月18日 23時) (レス) id: 82f220b590 (このIDを非表示/違反報告)
あーとlove - ひひひさん» 初めまして！コメントありがとうございます。otagaiga鈍感で、自分のことなんて思ってないだろうと思っているからこそ、こんなドタバタが成り立つんですよね（笑） (2016年7月18日 22時) (レス) id: e78417d479 (このIDを非表示/違反報告)
ひひひ(プロフ) - はじめまして！いつもひっそり見てましたが、どーしても書きたくなったので書きます！いつも、主人公ちゃんの気も知らないで好き勝手やってる翔さんに私も主人公ちゃんと一緒に振り回されてドキドキしてます。笑更新がんばって下さい！ (2016年7月18日 17時) (レス) id: 166d5a1a30 (このIDを非表示/違反報告)
あーとlove - ゆゆ。さん» ありがとうございます！これからもよろしくお願いします！ (2016年7月7日 2時) (レス) id: e78417d479 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あーとlove | 作成日時：2016年6月18日 5時
