25/S お願い -in the past- ページ25
・
「お父さんっ…お母さんっ…」
小さい俺が
俯いて泣いていた。
足元に出来た水溜り。
手には切れた電話。
場違いなくらい賑やかなバラエティ番組が
暗い部屋を光々と照らしていた。
一番上の1月のカレンダーには
大きく丸で囲まれた"25"
あぁこれは。
あの年の誕生日だ。
全てを失った誕生日だ。
・
そんな夢を見てはっと飛び起きた。
ハァハァと荒い呼吸。
額も着ていたTシャツも汗で濡れていた。
「…翔くん?」
隣で眠っていたあなたが俺の名前を呼んだ。
「どした?」
「夢で…ちょっとね…」
まだ朝の3時を指している時計を見て、
俺はもう一度あなたのいるベッドに潜り込んだ。
モソモソとあなたが来て俺を抱きしめて言う。
「話してごらん。
嫌な夢なんでしょ。きっと楽になるから。」
大好きなあなたが微笑んだ。
それだけで少し楽になった俺は
ポツリポツリと話し出していた。
「俺ね、小さい頃に両親を交通事故で亡くしてて、
ちょうどその日俺の誕生日でさ。
その買い物に行って帰ってくる途中で事故にあったんだって。
予約していたケーキを取りに行くだけだから、俺だけお楽しみにって家でテレビ見て一人で待っててさ。
それで警察から電話を受けたんだ。」
何も言わずにあなたが俺の頭を優しく撫でてくれた。
「…お願い…あなたは、あなたは離れていかないで…
ずっとそばにいて…
もう一人は嫌なんだ…」
いつの間にか伝っていた涙をペロリと舐めてあなたが言った。
「当たり前でしょ。
ずっとそばにいる。」
微笑んだあなたに
涙が嬉し涙に変わった。
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徳夜実南(プロフ) - もの凄く面白かったです!!!! 言葉では表せないくらい素敵なお話でした！！！ (2013年7月8日 7時) (
レス) id: dde8742611 (このIDを非表示/違反報告)
メリ子(プロフ) - シフォンさん» ありがとうございます（＾ω＾）新しいのも書いているのでそっちもどうぞー (2013年3月18日 18時) (レス) id: 70f5b5828c (このIDを非表示/違反報告)
シフォン(プロフ) - とても面白かったです！完結なんてさみしい(T_T) (2013年3月18日 17時) (レス) id: d81cefd942 (このIDを非表示/違反報告)
メリ子(プロフ) - sayaさん» ありがとうございまーす(^O^)／ちょっと智くんが暴走気味ですけど、どうか温かい目で見てください… (2013年3月17日 0時) (レス) id: 6018098abb (このIDを非表示/違反報告)
saya(プロフ) - はじめまして＾＾ はじめて見ましたが なんか引き込まれる話ですね〜。。。これからも楽しみに読ませてくださいね＾＾ (2013年3月16日 23時) (レス) id: 48d49f8412 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：メリ子
| 作成日時：2013年2月25日 14時
