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それは、いつの事だったか。
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「君は、炎の呼吸を使うんだね。」
最終選別を突破し、何故か産屋敷邸に呼ばれた私。
開口一番、言われたのがそれだった。
ええ、と返事をするがいきなりなんだ?と考えていることが顔に出てしまっている私にクスリと微笑みをひとつ落としたお館様はこう仰った。
「君は非常に才がある。
だけど炎の呼吸は攻撃力に長けたものだ。
今の君では少し、使いこなすのは難しいようだね」
*
育手は雷の呼吸使いだった。
しかし、どう頑張ってもそれを使うことは出来なかった。
代わりに出せたのが炎の呼吸だったのだ。
故に誰かに教わることも出来ずに全て自分で磨いてきた。技も、体の使い方も。
が、やはり独学では限界があった。
炎の呼吸は一撃が重い。
腕も足もまだまだか細い私にとってそれはかなりの負担だった。
やっとの思いで選別には合格したものの、これから任務を与えられて実際に鬼を斬っていくにあたり、それはかなり深刻な問題だった。
さてどうしたものか…と頭を悩ませていた矢先、
御館様に指摘をされ、図星で何も返答が出来なくなってしまった。
「む!君が炎の呼吸の使い手の隊士か!」
お館様に訪ねるよう言われ、門をくぐった炎柱邸。
庭で鍛錬をしているその背中にごめんください、と
声をかけた。
獅子色の髪、炎の柄の羽織り。
なるほど、この方が炎柱様かとひと目でわかるほど特徴的な姿だった。
『あの、お館様から炎柱様に稽古をつけていただくよう言われたのですが…。』
「うむ!聞いているぞ!さぁ始めようか!」
“柱”は鬼殺隊の最高位。
どんな強面の隊士なのだろうと構えていた私にとってその眩しいほどの笑顔は、調子を狂わせるには十分だった。
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愛之助(プロフ) - あ〜〜😭URL送ってくれてありがとう…煉獄さん本当にかっこいい解釈一致でしかないもういっつも文が最高かてぇ…本当に無料で読ませてくれてありがとう…🙏 (2021年11月2日 21時) (レス) @page23 id: 71bd857e36 (このIDを非表示/違反報告)
唯梨(プロフ) - 衣世さん» 衣世さん読んでいただきありがとうございました!あるとすればそれは…の内容はほんと、好きに想像してください!ふふふ (2021年10月19日 9時) (レス) id: 7ac5652e2e (このIDを非表示/違反報告)
唯梨(プロフ) - ひよさん» 遅くなり申し訳ありません!!最後までお読みいただきありがとうございました!煉獄さん、ずるい男です。もう呪いでしかありませんでした…来世があれば一発ビンタしたいです。← (2021年10月19日 9時) (レス) id: 7ac5652e2e (このIDを非表示/違反報告)
唯梨(プロフ) - 澪凪さん» 遅くなりごめんね!読んでくれてありがとう♡そんな大したことないからそんな褒めなくていいよ!笑 (2021年10月19日 9時) (レス) id: 7ac5652e2e (このIDを非表示/違反報告)
衣世(プロフ) - 完結おめでとうございます!切ないっ(/_;)/~~いつも解説ありがたいです!それ とは何か…まだわからない私です(ごめんなさい)唯梨さんの小説読めて嬉しいです!! (2021年9月30日 7時) (レス) @page22 id: 1ea4fe96cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:唯梨 | 作成日時:2021年9月18日 21時