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『師範…まさかとは思いますが』
「うむ!そのまさかだな!」
夜になり、さぁ鬼を待とう!と
布団に入った師範がおいで、と手招きをしている。
その“まさか”とは言わずとも同じ布団の中に入るということだ。
夫婦のフリをしなくては…と思う反面、
私の中の羞恥心が限界を迎えそうである。
『では…失礼します……。』
そうは言っても師範を拒否することなど私の中にあるわけがなく、おずおずとそこへお邪魔した。
*
「思ったより狭いな!」
『穴があったら入りたいです……。』
師範と継子、とはいっても男と女。
体格差は歴然。すぐ目の前には逞しい胸板。
着物ということもあって襟元から見え隠れする肌に目を逸らしたくなるも布団の中で視界にはもう師範の体しかないためそれが叶わない。
「にしても……すごい心臓の音だな!」
そんなに緊張しているのか?と頭を撫でられ、
こんなに動揺しているのは自分だけなのだと悟り、せめてもの抵抗で両手で顔を覆った。
『もう私……お嫁にいけないです…っ。』
「はは!心配するな!」
そういう事なら、と師範が何か言いかけた後、辺りが異様な雰囲気に包まれた。
一瞬で炎柱の顔になった師範は、
行くぞ、と言い一瞬で布団から出て戦闘態勢に。
後に続いた私だったが、その後無事に師範が鬼の頸を斬るまであの言葉の続きが気になって仕方がない自分がいた。
✳︎
隠が事後処理のため訪れ、
指示をし終えた師範が帰ろうと言い歩き出す。
二、三歩歩いたところで袖を掴んで引きとめてしまった。
『師範…あの…。』
「む、なんだ?」
『さっきの続き…聞かせてもらえませんか?』
そう問うと、ほんの一瞬だけ固まった師範だったが、「気にするな!この話はこれでお終いだな!」なんて言いながら背中を向けられてしまう。
『……えぇ…!?』
なんとも間抜けな声を出した私は
気になるじゃないですか…!となかなか諦めがつかず、追いかけた。
なぜなら、
前を歩く師範の顔が少し赤いことに気付いてしまったからだ。
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愛之助(プロフ) - あ〜〜😭URL送ってくれてありがとう…煉獄さん本当にかっこいい解釈一致でしかないもういっつも文が最高かてぇ…本当に無料で読ませてくれてありがとう…🙏 (2021年11月2日 21時) (レス) @page23 id: 71bd857e36 (このIDを非表示/違反報告)
唯梨(プロフ) - 衣世さん» 衣世さん読んでいただきありがとうございました!あるとすればそれは…の内容はほんと、好きに想像してください!ふふふ (2021年10月19日 9時) (レス) id: 7ac5652e2e (このIDを非表示/違反報告)
唯梨(プロフ) - ひよさん» 遅くなり申し訳ありません!!最後までお読みいただきありがとうございました!煉獄さん、ずるい男です。もう呪いでしかありませんでした…来世があれば一発ビンタしたいです。← (2021年10月19日 9時) (レス) id: 7ac5652e2e (このIDを非表示/違反報告)
唯梨(プロフ) - 澪凪さん» 遅くなりごめんね!読んでくれてありがとう♡そんな大したことないからそんな褒めなくていいよ!笑 (2021年10月19日 9時) (レス) id: 7ac5652e2e (このIDを非表示/違反報告)
衣世(プロフ) - 完結おめでとうございます!切ないっ(/_;)/~~いつも解説ありがたいです!それ とは何か…まだわからない私です(ごめんなさい)唯梨さんの小説読めて嬉しいです!! (2021年9月30日 7時) (レス) @page22 id: 1ea4fe96cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:唯梨 | 作成日時:2021年9月18日 21時