【実況者】陸 待っているのは絶望か奇跡か

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「お父さんがな、最近やっと就職したんや。それで、就職する前に…俺は色々あって二人殺してしまう。」

「物騒な夢だなー…」

「…あはは、でもね。何もしなかったら迎えてた未来じゃないかな、って思う。俺はやばいと思ってすぐこーちゃんに相談したからよかったけど、あのまま一人で抱え込んでたら……ぞっとするな」

前の世界か……。

「それで、学んだ。人に相談するこそはとっても大事。仲間って大切だなって」

……レト…。

「……夢か…」

隣のフジが、影のある笑顔を見せた。
…前の世界でおこした凶行をフジもまた、夢で見たのだろうか。
……きっとそうだろう。
だからこの世界でキヨの世話を焼く。雪見にキヨを託されたことを思い出しているから。

「ねぇ羽入。これでもこの世界は奇跡じゃないって言える？」

「…………………あぅ」
***
「あぅー！子供はお酒なんてダメなのです」

「実年齢は百歳以上だぜ。いいじゃん」

ワイングラスをおいて、空を仰ぐ。素敵な月だ。

「笑っちゃうな。キヨを拷問にかけて殺すまでしたフジが実の弟みたいに可愛がってんの。」

「………今度こそ、死の運命から逃れられるでしょうか」

……この世界は仲間たちがすべての悩みと問題にうち勝った理想の世界だ。
それはまるで、振ったサイコロの数だけすべて6だったような幸運。
だからこそ、不安なのだ。
……この幸運な世界がだめなら、もう二度と運命にうち勝てない。

でも負けるわけにはいかない

「羽入、付き合え」

「あぁ、いつものですか？どうして必ず殺されるか、ですね」

「あぁ」

運命は強い意思から作られる。
強い意思があるということは、恐らく犯人には明確な動機があるということ。
俺は古花家の現当主でオヤシロさまの生まれ変わり。嫌いな人間なんていないはず……。

「長い間魍史家の仕業だと思っていたけど…違ったしな」

「となると見当もつかないのです」

『人に相談するってことはとっても大事。』

……

「羽入。明日、p-pたちのところへ行こう。相談してみるんだ」

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