7滴 ページ8
shk「おい、大丈夫か?」
彼の声ではっと我に返る。
別れ際に彼との出会いを思い出すなんて、あまりにもどうしようもないなと思う。
見れば、彼はとっくにアイスコーヒーを飲み干していた。
まずい。
早く新しい話題を考えないと。
『そういえば、シャークんも口癖あるよね』
『やっぱり自覚とかない感じ?』
『まぁ、口癖ってそういうものだもんね』
shk「A」
彼の私を呼ぶ声を無視する。
『あー、後は声が裏返っちゃうとことか?』
shk「A」
『テンション上がると出ちゃうよね、後は──』
shk「聞いて、A」
シャークんの真剣な声色に言葉が詰まった。
もう時間切れだ。
せっかく稼いだ時間も意味はなかったんだ。
次に来るであろう言葉が予想出来る。
観念して、顔を伏せて彼の声に耳を向けた。
shk「俺さ、本当にAのこと好きだった」
「このカフェで見つけたとき、こんなに綺麗な人がこの世に存在するんだって思うぐらい」
「何が好きなんだろうとか、どんな声なんだろうとか」
「知りたいって思った、俺の名前を呼んでほしいって思った」
「初めて見た日から、ずっと好きだった」
「付き合えたときは現実かどうか分からなかった」
「だってAは、俺にはもったいないぐらい完璧だったから」
「そんな完璧なAの隣を歩くことに、自信がなくなったんだ」
「好きなのは俺だけだとか、Aは仕方なく俺と付き合ったんじゃないかとか」
「そんなことばかり考えていたら、好きってのが分かんなくなって」
途中から、シャークんの話は入ってこなかった。
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ののあ(プロフ) - りりらさん» わわ!ありがとうございます😭💗出逢えてよかったと言っていただけるのめっちゃ嬉しいです…!! (12月10日 11時) (レス) id: ca8d1d1062 (このIDを非表示/違反報告)
りりら(プロフ) - コメント失礼します!短いお話なのにここまでちゃんと内容がしっかりしててまとまってて綺麗すぎる。。。ほんとうに大好きですたまたま目に入りタップしてみたのですが出逢えてよかったです🥲他の作品も読みたくなりました、、💞 (12月4日 3時) (レス) @page12 id: 97e36a4b18 (このIDを非表示/違反報告)
ののあ(プロフ) - けいさん» ありがとうございます!そう言っていただけてとっても嬉しいです…!! (11月23日 19時) (レス) @page12 id: ca8d1d1062 (このIDを非表示/違反報告)
けい - わっ!!!!!切ない感じほんとに大好きです… (11月20日 23時) (レス) @page10 id: 30409745a3 (このIDを非表示/違反報告)
ののあ(プロフ) - Mさん» shkさんは絶対初心だろうな…という認識がありましたので!笑ありがとうございます!! (11月19日 10時) (レス) @page8 id: ca8d1d1062 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ののあ | 作成日時:2023年11月7日 22時