とある森の妄想族(短編集) 続 (ページ7)

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(あれ、飲み会くるの？)

『うん、これからは行けるよ』

智洋くんの生活に合わせていたせいで飲み会も行けていなかった。
同僚は驚いているみたい、そりゃそうか。

(彼氏と話し合ったんだ、よかったね)

『んーん、家政婦止めたんだ』

どういうこと？と聞き返しはしないもののはてなマークの浮かぶ彼女に、大丈夫だよと微笑んで居酒屋に入る。
会社のすぐ近くの居酒屋。1年目に歓迎会してもらった場所だ。

あ、外食するのも久しぶりだ。休日は買い出しと掃除をしていたし外食する機会もなかったしな。

久々のお酒に身体が驚いているのを感じて二次会は遠慮した。
さて、明日の朝はどうしようか。お昼は？1人分のお弁当って難しいんだよなあ。

「A！」

最寄りの駅の改札には愛おしかった人。

『智洋くん』

「おま、何してんねん！」

あれ？なんで怒られてるんだろう。
私悪いことしたかな？ご飯作ってないから？お風呂沸かしていないから？それとも、黙って出て行ったから？

「とりあえず帰ろ」

『どこに？私、ホーム違うんだけど』

「は？」

『智洋くんは2番線でしょ？私5番線だもん』

少しの沈黙。
私の頭は恐ろしいほど冷静だった。

こんな私を見たことがないからか見るからに焦っている。
大学から付き合って4年。初めて見る顔。

「とにかくここじゃ話されへん」

手首を掴まれそのまま結局タクシーに乗る。
あーあ、出費が。

止まったのはたった3日ぶりのマンションの前。

「....なんで黙って出て行ったん？」

なんでか？そんなこともまだ分かっていないのに駅に居たの？

『.....よく、私が居なくなったって気付いたね』

そういうとわかりやすく睨まれる。

『私の姿、見えてたの？あ、家事が済んでないから分かったの？』

ちょっと嫌味っぽかったかな？
これくらいの揶揄は許してよ。

『なんでか分かった？

...ねえ、なんで、何も言わないの』

そんな顔が見たいんじゃ無いんだよ。
そんな悲しそうな顔しないでよ。