自然消滅、"元"彼氏 続 (橙) ページ3
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このお話は続きです。
先に「とある森の妄想族」にあるお話をお読み下さい。
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『シーサー!』
「おい、先に俺に挨拶せんかい笑」
シーサーを抱きしめるために屈んだ私の頭に手を置く照史とはあの一件から距離がグッと縮んだ。
義務にはなってないものの1日に一回は連絡を取り合うし、2週間に一回は会っている。
『運転私がしようか?』
「ええよ、お前の運転不安やし」
『えぇ!なんで!』
「ええから早く乗れって笑」
今日は照史の車で海に行く。
まだ冷たい海には人も少ないからシーサーも伸び伸びできるはず。
後部座席に乗り込んで箱の様なものにシーサーを入れる。
彼の運転する後ろ姿はやっぱりかっこよくて、白いTシャツから出る焼けたゴツゴツした腕、左手に付けた腕時計。
うん、良い。とても良い。
海に着くと案の定人はあまり居ない。
『シーサーってさ、泳げるっけ?』
「いや、こいつ水あかんねん」
『え、なんで連れてきたの笑』
「やって1人にすんの可哀想やんか」
リードを握って車から降りると気持ちの良い潮風に、久々の夏を感じる。
偶々被ってしまった白Tにハーフパンツというコーディネートも、また付き合いたての頃を思い出してちょっとくすぐったい。
「よし、行くか」
浜辺へ降りていくと波の音が聞こえて潮の匂いが強くなる。
「今年はさ、釣りとかしたいよな」
『いいね』
「沖縄も行ってさ、ダイビングしたい言うてたやんか、それもしてさ」
照史が話す未来がそう遠くないものだとしても、そこに私がいる前提なのが嬉しいし、私が何となく零した言葉も覚えていてくれているのが嬉しい。
『そうだね、今年は焼けるなぁ』
「お前、ちょっとは紫外線対策とか言えや
もう若くないんやから」
『え、いきなりの侮辱?いいの、シミそばかす対策はちゃんとしてるつもりだから』
「つもり、な」
『うるさい』
こんなちょっとした言い合いも楽しい。
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作者名:あんまん | 作成日時:2020年10月30日 13時