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不器用な彼女と誕生日(緑) ページ1

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「今日はサンキューな。プレゼントまでわざわざ」

(ええねんええねん。Aちゃんにも宜しく)

「はいよ」

同じ大学で、部署は違うけれど同じ会社の流星とは普段何となく帰りが被ると、飯行くか〜くらいのノリでご飯を食べる仲だった。
そんな流星からわざわざ日曜日にお誘いを受けて買い物に来た。ついでに、と気になっていたアクセサリーを誕生日プレゼントに買ってくれてそれが目的だったのかと気付く。

同棲中の彼女とは彼女の就職を機に同棲を始めた。
大学の後輩だった彼女は、流星とも仲が良く実を言うと流星のおかげで付き合えたところはある。
今でもたまに流星とAも連絡とってるみたいやし。

今年社会人2年目になる彼女は、最近では少し余裕が出てきたのか不器用なりに家事をこなそうとしている。
苦手だった料理も積極的にやり出し、気付いたらいつ勝ったのか知らない器具が増えていた。

「ただいま」

『はっぴー!ばーす!でー!』

「.....え?」

パーンとクラッカーが鳴ってヒラヒラとペーパーテープが宙を舞う。

その奥に見えるリビングは明らかにいつもの様子とは違っていて。
俺のその反応に、にこにこしながら

『どう?凄くない?』

と聞いてくる彼女に1人で頑張ってくれたのかと嬉しくなる。

リビングに入るとテーブルの上には何とも不格好なケーキと、壁には飾り付けもされていて、彼女からの愛を感じて胸がぎゅっとする。

『流星さんに頼んで智洋くん連れ出してもらっちゃった。その間に頑張りました』

自分でぱちぱちと手を叩く彼女は相変わらずちょっと阿呆で可愛い。

「凄い、ほんまに。これ、ケーキも手作り?」

『あーあんまり見ないで。練習したんだけどやっぱり綺麗に出来なかったの』

「なんでや、めちゃくちゃかわええやん」

そうか、ケーキを作るための器具だったのか。
そういえばお菓子作り出来そうな材料も冷蔵庫に入ってたな。

『今までみたいにちょっと良い外食したり、出かけたりするよりも、お家でお祝いしたくて。
ごめんね、ケーキだけじゃなくてもっと手料理とかも作れたら良かったんだけど...』

「なんで謝んねん。嬉しい、ありがとう」

そういうとくしゃっとした俺の大好きな笑顔で笑う。

『こちらこそ、いつもありがとう』

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作者名:あんまん | 作成日時:2020年10月30日 13時

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