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ガチャン、と扉が閉まると掴まれていた腕が解かれる。
『しげ、あの....』
「会いたかった、ずっと」
『え?』
「お前が学校辞めたって聞いて急いでお前の家行ったのにもうお前居らんし。東京に行ったって言うから東京の大学行こうと思うたけど、どこも頭ええし....」
頑張ってくれたんだ、私のために....私なんかのために....
「ごめん、靴もまだ脱いでへんのに笑
あがって、そない綺麗ちゃうけど」
彼は何も変わってなかった。
変わらずまっすぐで綺麗だった。
何で、私あんなこと言ったのに、謝りもしてないし....
「A、俺な、最初からお前のおとんのこと知ってたで」
『.....知ってたって』
「でもさ、そんなことどーでもよかってん。いや、良くもないか。そういうの引っくるめて、お前に惚れてん」
『しげ.....』
「さ、俺は言うたで。お前は?お前のことも教えてや」
今まで話そうと思ったことなんてなかった。
信じて貰えないから。
でも、しげならきっと信じてくれる。
包み隠さず全部話した。小学生の時のこと中学の時のこと。
辛いこと沢山あって、そこから逃げたくて逃げたくて大阪に行ったこと。
そこで貴方に出会ったこと。
『私、しげのこと好きだったの。だけど、私と付き合ったらしげまで....そんなの嫌だったけど、きっとしげはそんなこと関係ないって言ってずっと一緒に居てくれそうだったから』
だから、また逃げちゃった。
そう言うとしげは黙って抱きしめてくれた。
ちょっと汗ばんでいるけれど、あの時よりも確実にがっちりしていて男性らしい体つきになっていた。
「阿呆やなあ、ほんまに阿呆や」
頭をちょっと痛いくらいになで回される。
「ん、泣いてる?」
『泣いてない』
「ほんなら顔みして」
身体が離れそうになるけど、こんな顔見せたくなくて必死に回した腕を強くする。
『やだ』
「みーしーて」
『やだ』
「もう、かわええなあ」
しげはきっとこの先もずっと変わらない。
ずっと太陽みたいに眩しくて心を暖かくしてくれる。
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(作者から)
沢山の評価ありがとうございます。
移行先でまたお会いできたら嬉しいです。
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作者名:あんまん | 作成日時:2020年10月25日 19時