とある森の妄想族(短編集) (ページ49)

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次の日学校に行くと、昨日の彼らが私を見て一言

詐欺師が来たぞ！

クラスメイト全員が私を見る。
この視線、何も変わらない。やっぱり学校なんてどこも同じだったんだ。

「A、お前昨日、なんで来なかった」
(しげ～、やから言うてるやんか～！お前とデートするする詐欺やって！)
(ほんま最低な女やな)
「A、何か言えよ.....」

私はまっすぐにしげの目を見て言った。

『最初からしげとデートする気なんて無いから』

それが私の高校最後の日。
その日を最後に私は東京に帰って通信で高校卒業資格をとった。
個人作業がほとんどのパソコンと向き合う仕事。元々地頭は良かったからすぐに人の手を借りずに一人で仕事出来るようになった。
学校の無い毎日は楽だった。だれも私に関心などない。
でも、「楽」は「楽しい」ではなかった。

あの太陽みたいな笑顔を探してしまうし、ちょっと高い声で名前が呼ばれるのを耳を澄まして待ってしまう。
しげはきっと私を恨んでいる。しげの人生に嫌な記憶を残してしまったこと、本当にそれだけが悔いだ。出会わなければ、良かったのに。

仕事終わり、大学生が横を通る。
高卒であることは私にとってマイナスになんてならなかった。
ただ、ちょっとだけ、楽しい学校生活をもうちょっとだけ経験したかったな。

「A...？」
『え....』
「はぁ、やっぱり」

信号待ちで止まっていた私に声をかけたのは間違いなく大学生のしげだった。

「後ろ姿みて、絶対そうやと思って走ってきたわ！ちょ、今時間ある？あるやんな？」
『ちょ、どこ行くの！』
「おれんち！」
『えぇ！？』

まるであの日々に戻ったかのような心地がした。

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