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誕生日に変えたいもの(赤) ページ5

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大学の同級生で仲が良かった重岡が転勤してうちの会社に入ってきたのはもう半年前。
偶々同じ部署になったときはひっくり返るほど驚いた。

卒業してから特別会ったりしていなかったけど、元々仲が良かったこともありすぐに"92年組"と周りに認知されるくらい一緒にいるようになった。
重岡は持ち味の人懐っこさですぐに会社に溶け込み、あっという間に私と同レベルの仕事を任されている。

朝、パソコンを立ち上げると、いつ書いたのか分からない汚い字で卓上カレンダーに"しげちゃん誕生日"の文字があるのに気付く。

「おはようございまーす」

あぁ今日か。ランチでも奢ってやろうかな。

「よ、今日なんか早ない?」

『あーうん。会議入ってて』

「そうなんや。俺も今日ずっと外やねんなあ。暑いわ、死ぬかも。」

よりにもよって外回りか...じゃあランチ一緒に食べれないなあ。

「なんや、その顔は。」

『いや、なんでもない。溶けないように今のうちに冷蔵庫に入ってれば?』

「そうやな...っておい!笑」

大学の時は誕生日アピールしてきてたけど、やっぱり社会人になると違うなあ、なんて。
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結局重岡は会社に戻ってこないまま定時になった。
しょうがないか。また明日でも明後日でも奢れるしね。

『お疲れ様です。お先に失礼しますー』

今日残業の同期に頑張れ〜と念を送りながらロビーを通ると

「おい、遅いねん」

『あれ?忘れ物?』

「はあ?ちゃうわ」

ハンディーファンを片手に重岡が立っていた。

「約束したやろ」

『約束?したっけ?』

「おいおい、嘘やろ。手帳!みてみ!」

手帳?
開いてみると26日の所に大きく"叙々苑!しげちゃんにおごる日"と書かれていた。
いつ書いたのよ...

『待って。叙々苑は高すぎない?』

「はあ?」

『いつもの居酒屋でいいじゃん。ちゃんと奢るからさ』

「....それ別に誕プレちゃうやん」

『でも叙々苑は無理だって』

「ほな飯作ってや」

『え?今から?』

確かに大学時代何度かご飯作ったことあったけど...

「今から。俺んち。ええやんな?」

『そんなんでいいの?それこそ誕プレじゃなくない?』

「飯だけなわけないやろ。」


そう捨て台詞のようにはかれた言葉の意味を聞く前に早足で歩き出してしまった重岡の背中を必死に追いかけた。
19歳から27歳まで8年続いた関係が変わるまであと3時間


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作者名:あんまん | 作成日時:2020年10月25日 19時

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