とある森の妄想族(短編集) (ページ34)

今日:6 hit、昨日:6 hit、合計:94,526 hit

朝のイチャイチャと共に(黄) ページ34

.

『淳太くん、8時だよ』
「う...ん」

リモートワークになってから、以前よりもゆっくり寝ていられる反面夜遅くまで起きている淳太くんはなかなか起きてこない。

『朝ご飯食べないの？お腹すいちゃうよ』
「ん...おきる」

んーっと伸びをしてゆっくり開いた目と私の視線がぶつかる。

「おはよ」
『おはよう』

のそのそと布団から起き上がるのを見てから私は朝ご飯を並べに行く。

「今日はトースト？」
『うん、食パンの期限が今日までだったから』

すぐに洗顔と髭剃りをして、軽く寝癖を治してから朝ご飯。
洗顔するときは私の夢の国のヘアバンドで前髪を押さえるのが可愛い。

「ん？もう着替えたん？」
『私今日11時から16時まで出勤だもん』
「え、せやったっけ？」
『もう、先週のうちに言ったでしょ。わすれんぼ』
「えぇ、寂しいなぁ」

私は甘いものが大好きなので苺ジャムとクリームチーズを。淳太くんはシンプルにバターを少し。
コーヒーも私はミルクたっぷり、淳太くんはブラック。そんな舌の違いも尊重できるこの関係が心地いい。

「その服で行くん？」
『だって暑いもん』
「えぇ露出しすぎちゃう？電車で冷えるで？」
『そうかな？』

湿気でベタベタするのが嫌でほぼノースリーブのシャツで行こうとしていた私に忠告。

「しかもそうやってちょっと前屈みになると見えそうやで？」
『...もうどこ見てるの』

でも確かにこの時期にもうノースリーブは早いかな。上に何か羽織って行こうっと。

「洗い物はやるから準備しておいで」
『ありがとう』

髪を巻いたりちょっとアクセサリーを付けたり。よし、そろそろ家を出ようかな。

「ん、ちゅうは？」
『えぇ、するの？リップつけちゃったし』
「ええやんどうせマスクやろ？早く」

そう言って掴んだ腕を離してくれないから、しょうがなく淳太くんの肩に手を置いて、ちゅっと唇を合わせる。

「帰り連絡くれたら迎えに行くから」
『ほんと？嬉しい』
「....早く終わらせてな？」
『んふふ、寂しがりや淳太くんだ』
「寂しいよ、最近は毎日ずっと一緒やったもん」
『私も寂しい、けど頑張ってくるね』
「せやね、行ってらっしゃい」
『行ってきます』

最後にもう一度ちゅう。
今日のちゅうはちょっぴりバターとコーヒーの味。

.