とある森の妄想族(短編集) (ページ3)

今日:2 hit、昨日:38 hit、合計:94,413 hit

3 ページ3

.

久々に照史の車に乗って家へ行く。
扉を開けるとシーサーの声がして、照史の家って感じ。

『お邪魔します』

先にスタスタ入っていく照史に続いて私も入る。

「シーサーただいま」

ゲージから出して出してとアピールするシーサーを、お望み通りにとゲージから出すと一目散に私に近づいてくる。
覚えてるのかな、久しぶり。相変わらず可愛いね。おっきくなった？

可愛い尻尾をフリフリしてくれる姿を見ると覚えているみたい。

「先に言うとくけど、別れへんから。俺は」

『え、別れないの？』

「はぁ、お前さ」

とちょっと怒ったような呆れたような口調で話し出すと私の腕の中にいるシーサーがヴゥと唸る。

「あ、ちゃうちゃうシーサーお前に怒ってるんちゃうって」

ワン！そうじゃない！と言うかのように吠える。

『なーに、守ってくれてるの？かっこいいじゃんシーサー。』

「....シーサーがそんなに懐くのお前だけやでほんまに」

そういうと私の隣に座ってシーサーを撫でる。
肩と肩が触れ合うくらい近い。
こんな距離に照史がいるのもいつぶりだろう。

「ごめん、連絡もせんで」

『いや、元々そんなにする方じゃなかったし』

「それでも、さ。」

お互いの顔は見ない。
あくまでシーサーを見ながら話す私たち。

『ううん。いいよ。謝らないでよ。
　...んーやっぱりさ、友達に戻らない？』

.