とある森の妄想族(短編集) (ページ19)

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初めてのキス(青) ページ19

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『キス、しませんか』

初めて出来た彼氏。今まで唇くっ付けるのの何がいいの？なんて思ってた。
でも、初めて人を好きになって、近くに居たいとか触れ合いたいって気持ちが少しだけど分かるようになった気がする。

「へ？いきなりどうしたん？」

私よりもずっと経験豊富でずっと余裕で、私が嫌がるならしないって言ってくれていた流星。

それが優しさだって分かっている反面少し不安で。
私よりもっともっと素敵な人とそういう関係を持っているから、わざわざ下手な私とシなくてもいい...みたいな。

でも、単純に流星とならキス、してみたいと思った。

『目瞑ればいい？』

「ほんまにするん？」

『嫌？』

「嫌やないけど...」

怖くなったり、嫌だと思ったら逃げてな、なんて言ってくるから、ギュッと目を瞑る。

(くる、くる...!)

「そんな固まらんでも取って食ったりせんよ」

そういうと私の髪にさらさらと指を通す。ちょっと力が抜けたのを見てゆっくりと唇が合わさる。

すぐに離れた温もりがちょっと恋しくて、目を開けると伏し目がちな綺麗な瞳に捕まる。

「もうちょっとしてもいい？」

『うん』

すると今度は私の顎をくっと持ち上げる。

その瞬間に少し開いた唇に噛み合わせるように重なる2度目のキス。

ちゅっ...ちゅっ...と角度を変えるたび音が聞こえるのが恥ずかしい。

後頭部に添えられた手が逃さないと言うかのように引き寄せ続け、もう片方の手は腰に回っている。

「きつい？」

『ううん、大丈夫...』

「舌出して」

舌？そう言ってほんの少しだけ出すと、今度は舌が絡まる。
さっきのとは全然違う。頭がぼーっとして何も考えられなくなる。

「かわい」

隙間を縫って溢れるその言葉とキスの海に溺れた金曜の夜。

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