とある森の妄想族(短編集) (ページ1)

今日:7 hit、昨日:38 hit、合計:94,418 hit

自然消滅、"元"彼氏(橙) ページ1

.

お互いアウトドア派で、ベタベタくっつくよりも友達の延長みたいな関係が理想。
動物も美味しいご飯もお酒も大好きで、運命のように思っていた。
こんな理想的な人がいるのかって。

付き合い始めて3年。最近は連絡も一切無い。
照史の仕事が忙しくなってからは家にも行っていないし会っても居ないから...かれこれもうすぐ4ヶ月会ってないのかな？
あー、これこのまま終わるな、なんて思ってた。

そんなある日

友達と呑みに来た居酒屋で聞き覚えのある声がした。

(ねえ、ずっと気になってたんだけど、あれあんたの彼氏じゃない？)

奥の個室に座っているのが見えるのは、4ヶ月ぶりに見る照史。

『ああ、うん。そう』

(来てるの知ってたの？)

『いや？連絡もしてないし顔見るのも久々』

(....それってさ、)

『多分このまま自然消滅パターン笑』

だってほら、隣に座っているキレイめな若い女性と良い感じじゃん。
なんだ、ベタベタしたくなかったのは私だったからか。

ビールの入ったジョッキを片手に女性の腰に手を回している。
初めて見た、こんな所。
ベタベタするのが嫌だって、さっぱりした関係が良いって言うからあんまり干渉しなかったのがこうも裏目に出るなんて。
私、照史のこと全然知らないじゃん。

友達には申し訳ないけど早くここから出たくて、違う場所で飲み直そうとその日は店を後にした。

.