個室予約のお客様（緑）

ep.15 ページ15

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「「はぁ...」」

店長「なんや二人してため息ついて。幸せ逃げんで」

金「もうおじさんに分けてあげます」

私たちがこんなに気疲れしているのには理由がある。

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店長「今日から新しい子くるから教えたってな」

金「あら、じゃあAちゃん初めての後輩だね」

私がバイトの初めて3ヶ月。まだまだ一人前というには足りないけれどミス無くこなせるようにはなってきた。
回転率も上がったからか最近はとってもお客様が多い。
それを見ておじさんが求人を出したみたい。

「こんにちは〜！」

「「こんにちは」」

「今日からお世話になります！璃梨乃(りりの)です、りいって呼んでください」

24歳文系の大学院に通う関西出身の方言女子りいさん。
可愛らしいミルクティーの髪をくるくるに巻いてキラキラしたヘアゴムでまとめていて、
笑顔が女の私でもキュンとしてしまうくらい魅力的で。
素敵な後輩が出来て嬉しいな。

と思っていた。この時までは...


「お姉さんめっちゃカワイイな！酒が進むわ〜」

璃「えーもうやだあ！お兄さんお上手なんやからっ」

関西出身らしいりいさんはお客さんのハートを掴み、話かけられている。
それはいいんだけど...

金「りいちゃんお食事運んでー」

璃「あ、はーい」

お仕事が二の次になっている。
注文も全然とってないし料理も運んでない。
これには金さんも英さんも苦笑い。

お二人とも優しいから強く言えないんだろうな。
それならここは私が先輩らしく...

『りいさん、お仕事ちゃんとしてもらわないと』

璃「そうやんな、ごめんなさい。お客様とお話するの楽しくて...」

「いやいや俺らが引き留めちゃったからりいちゃんは悪くないよ！」

「そうそう！俺らが悪い！りいちゃんごめんな」

....なにこれ。
なんだか遠回しに私が悪いと言われているかのよう。
イラッとする気持ちを抑えて私は仕事に戻る。

その後も金さんが言うことは聞かずに英さんは聞く。
おじさんの前ではちょっと頑張る。

みたいな明らかな男女での態度の差に金さんと私はぐったり。
これからやっていけるかな？

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