雫 *shizuku* -Kazunari- 第２章【8/24おしらせ更新】 (ページ34)

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今の時期、レギュラー番組に加えてドラマの撮影やコンサートの準備など…

彼の仕事はずいぶんと立てこんでいるようで。

ゆっくりと顔を合わせる時間はあまり取れなかった。

でも、マメにメッセージを入れてくれたり、

仕事が深夜まで及ばない時には私の家に寄ってくれたり。

短くても満たされた時間を過ごすことができたというのが私の本音。

「ねえ、今度来るときさ。

Aの手料理食べたい」

『え…手料理…？』

「うん」

屈託ない笑顔はとても３０歳には見えない。

『いいけど…

好きなものとか、ある？』

「ハンバーグ！」

『ハンバーグ？(笑)』

子どもが好物をねだるみたいにキラキラ目を輝かせながらそう言い切った二宮さんに、

思わず頬が緩んだ。

ハンバーグか…

我が家の味、気に入ってくれるかな…

学生時代からひとり暮らしをしている私は、自炊歴も長い。

ひと通りの料理は作れるようになったし、料理は好きだから正直自信はある。

『じゃあ次に来れそうなときは、前日までに教えてね』

「りょーかい」

男の人に初めて手料理を振るまう時は、いつだって緊張する。

でもきっと、喜んでくれるよね…

うん、大丈夫。

近く訪れるであろうその日のことを考え、

隣に並ぶ二宮さんに視線を合わせた。

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