雫 *shizuku* -Kazunari- 第２章【8/24おしらせ更新】 (ページ32)

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深夜の幹線道路はそれほど車も走っていなくて、

私を乗せたタクシーはスピードを上げていった。

二宮さんは“家まで送る”と言ってくれたけれど、

よくよく話を聞くと明日はドラマの撮影で５時起きだっていうから…

頑なに乗り込もうとする彼の胸をそっと押した。

『ホントに大丈夫ですから』

「………」

『家に着いたらまた連絡します』

「……わかった」

ほんの少し口を尖らせたりして…

さっきまでの色っぽい表情とは打って変わって可愛らしく感じる。

ドアの向こうから見つめる二宮さんに手を振り、

運転手さんに声をかけた。

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『はぁ……』

窓の外を流れていく景色を眺め、思わずため息を洩らす。

今日は色んなことがあり過ぎたな…

我に返ると、どっと疲れが押し寄せてきた。

と同時に、二宮さんの部屋でのワンシーンが蘇り、頬が火照り出す。

…俺の側にいればいい…って…

それはやっぱり…

私を想ってくれてる、って考えてもいいんだよね…

心ごと包み込むように抱きしめられ、

そして啄むように何度も唇を重ねられ…

彼の真っ直ぐな瞳を思い出し、膝にかかるスカートの裾をギュっと握りしめた。

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