雫 *shizuku* -Kazunari- 第２章【8/24おしらせ更新】 (ページ17)

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『コレ…で、いいかな…』

“迎えに行くから”とだけ言われたものの、

何処へ出掛けるのか分からないから…

そこそこ動きやすく、でも女性らしさも忘れていないようなパンツルックを選んだ。

時計の針はもうすぐ２時になる。

そろそろ、だよね…

いても立ってもいられなくて、意味もなくリビングをうろうろしてみるけど、

そういう時に限って針の進みは遅く…

何度も壁の時計を確認していた。

『……、…』

約束の時間の３０分過ぎ。

テーブルに置いた電話はまだ音を発さない。

二宮さんの仕事は予定なんてあって無いようなものだから…

きっと収録が押したりしてるんだよね。

自分に言い聞かせ納得したその時…

♪～♪～♪～

耳に飛び込んできた着信音に心臓がドキンと跳ねた。

『もっ、もしもし…』

「あ、俺。ゴメン、遅くなって」

『いえ…大丈夫です…』

「待ちくたびれちゃった？」

『あ、全然そんなことは…』

「いや、そこは“まだかな、って思ってました”って可愛く言うとこでしょ(笑)」

『え……ゃ、あの…』

茶化すような軽い口調に頬が熱くなる。

「まあいいや(笑)

とりあえずもうすぐ着くから」

『はい…』

「エントランスまで降りてきといて」

『…分かりました』

通話終了ボタンをタップしたその手でバッグを抱え、

高鳴る鼓動を感じながらドアを開けた。

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